『网络小说』Jobless・Oblige(五)
2章 奴隷市場の悪を裁け
2章 制裁奴隶市场的邪恶
5話 現在の妹
5话 现在的妹妹
□ □ □
「ジーク!」
【吉克!】
まどろみの中で声が聞こえた。
毎日聞いている声に、デジャヴを覚えそうになる。
朦胧中我听到了声音。
每天都会听到的声音,都快听出幻觉了。
「いつまで寝てるの! 起きなさい!」
【你打算睡到什么时候啊!快起来!】
目が覚める。
体を起こし、窓の外を見ると、今日もとっくに昼だった。
窓と逆の方を見ると、こちらもいつも通り。白い髪の母が腰に手を当てて、僕を睨んでいた。
我醒了。
我从床上爬起看向窗外,今天太阳也早就升起了。
朝窗子相反的方向看去,和往常一样,白发妈妈双手叉腰站在那里,瞪着我。
今日もまた、起こされてしまった。
僕の言えたことじゃないが、毎朝、母も大変だ。
今天也被妈妈叫醒了。
虽然这话不该由我来说,每天都这样,妈妈也真辛苦啊。
「今日は布団を干すから、早く起きて」
「……ああ」
【今天我要晒被子,快起来】
【……哦哦】
母の言葉に従い、僕は着替えもせずに部屋を出た。
我听从妈妈的话,衣服都没换就离开了房间。
「ご飯は下に用意してあるから、さっさと食べちゃってね!!」
「はーい」
【饭在楼下已经准备好了,赶快去吃吧!!】
【是—】
母の言葉に適当に返事をしつつ、廊下を歩き、階段を降りる。
すると、階段の中腹に、青い髪の少女が座っているのが見えた。
上の妹のリリだ。
我很随便地回应了下妈妈,便走下了楼梯。
走到当中,便发现一个蓝头发的少女座在那里。
是我下面的一个妹妹,莉莉。
何をしているのかと手元を覗き込むと、いくつもの突起を持つ巻き貝のようなものをいじくっていた。
恐らく、何かの魔道具だろう。
用途はよくわからない。
我不知道她在做什么,靠近后发现她正在摆弄着几个像是长着几个凸起物的海螺一样的东西。
恐怕是什么魔道具吧。
不知道所做什么用的。
珍しい光景ではない。
彼女の趣味は、魔道具を作ったり分解したりすることだ。
暇を見ればこうして弄くっている。
这并不是什么稀奇的景象。
她的兴趣就是制作或者分解魔道具。
只要一闲下来就会像这样。
それはいいのだが、何かを思いついた時は場所をわきまえないのが問題だ。
熱中すると、本当にどこでも作業を開始してしまうのだ。
食事中や風呂の中はまだしも、道端とか雑貨屋の中とか、時には路地裏に座り込んでカチャカチャとやりだしてしまう。
今日はまあ、マシな方だろう。
这样也就算了,但是她却有个问题,就是一想到什么的时候就会不分场合地开始作业。
一陷进去的话,真的是无论在哪都能开始作业。
吃饭或者洗澡的时候就算了,她还经常在路当中啊,杂货店里啊,有时还会蹲在小角落里开始研究。
今天这样,嘛,还算好的了。
「リリ、今日は仕事休みなのか?」
【莉莉,今天休息吗?】
足の先で背中を小突くと、彼女は驚いたように振り返り、僕を見た。
そして、僕と自分の手の中にあるものを交互に見た後、ふるふると首を振った。
我用脚尖碰了碰她的后背,结果她一副惊讶地样子回过头,看着我。
然后她来回看了看我和她手中的东西,摇了摇头。
「休みじゃないですけど?」
「もう出勤時間、過ぎてるんじゃないのか?」
「あ」
「……着替えてこいよ。送ってってやるから」
「あ、はい。よろしくお願いします」
【不休息啊怎么了?】
【上班的时间已经要过了吧?】
【啊】
【……赶快去换衣服吧。我送你过去】
【啊,嗯。拜托了】
どうやら、無断欠勤をする所だったらしい。
看样子,是无故旷工。
僕は彼女が階段を登り、自分の部屋に入っていくのを見届けた後、一階に降りた。
リリは性格的なものもあってか、それとも僕が王立学校で無視されたせいか、我が家の兄弟姉妹たちの中で唯一、王立学校へと進学しなかった。
上の妹自身も王立学校に行くのは望まず、父のコネでザノバ商会という芸術品や魔道具を製造・販売する企業に就職した。
我目送着她爬上楼梯回到自己的房间后,下到了一楼。
不知是不是因为莉莉自己性格的原因,还是因为我在王立学校被人无视的原因,她是我家所有兄弟姐妹中唯一一个,没有去王立学校就读的人。
她自己也不愿意去那,所以父亲就靠着自己的关系,让她去了一个名叫扎诺巴商会的制造和贩卖艺术品或者魔道具的公司上班了。
リリの所属は、主に魔道具の開発・修理を行う部署だ。
かなり重宝されているらしく、会社に個人の作業場も持っている。
魔道具が好きな妹にとって、楽園のような職場なのだろう。
莉莉所属的部门主要是负责开发和修理魔道具的部门。
好像被当作很重要的人才,在公司也个人专用的工作室。
对喜欢摆弄魔道具的妹妹而言,那一定是乐园般的地方吧。
だというのに、遅刻と欠席の常習犯だ。
大抵は、今日のように、変な魔道具に夢中になってのことだ。
社会人としての自覚が足りないね。
ま、僕が言えたことじゃないけど。
但是,她却是迟到和旷工的惯犯。
大多数都像是今天这样,沉迷于奇怪的魔道具无法自拔。
她还没有身为社会人的自觉呢。
嘛,虽然我也没资格这么说。
ちなみに下の妹のクリスは、アスラ王立学校へと入学した。
髪の色も青や緑ではないし、そもそも彼女はアスラ王国に行きたがったので、父や母たちも特に何も言わなかった。
成人してもなおキラキラとしたお姫様に憧れていた妹にとって、王立学校は楽園のような場所だろう。今はどうしているんだろうか。彼氏でも作ったかな?
顺便,最小的一个妹妹克丽丝去了阿斯拉王立学校。
她的头发不是蓝色也不是绿色,而且原本她自己也想去阿斯拉王国,所以父亲和母亲们也没说什么。
成人后还是憧憬着耀眼的公主的她而言,王立学校也一定像是乐园一般的地方吧。她现在在做些什么呢。是不是都交到了男朋友了呢?
「赤ママ。リリが今から店の方にいくみたいだから、送ってくるよ。馬借りていい?」
「今日休みじゃなかったのね……いいわ。気をつけなさい」
【红妈妈。莉莉好像现在要去店里,所以我送她过去,马可以借一下吗?】
【今天她不休息是吧……好的。路上小心】
僕は食堂にいた赤髪の母にそう告げ、朝食を素早くかっこんで、馬を用意するべく家を出た。
我像这样和红发妈妈说了一声后,便迅速解决了早饭,出门准备马具了。
□
リリを馬の後ろに乗せて、ザノバ商店への道を行く。
馬は赤髪の母の持ち物だ。
赤髪の母は剣術だけでなく馬術も得意で、幼い頃はよく僕らを遠乗りに連れて行ってくれた。
ついでに馬を調教するのも得意だった。
どの馬も母によく懐き、従順になった。
僕ら兄弟姉妹は、赤髪の母の調教した馬を使い、馬術を習ったのだ。
我让莉莉坐在马的后面,带着她朝着扎诺巴商店走去。
马是红发妈妈的东西。
红发妈妈不光是剑术,连马术也很擅长,小时候常带着我们骑着马到远处玩。
顺便,妈妈也很擅长调教马。
无论什么马都很黏着妈妈,很听她的话。
我们所有人都是骑着红发妈妈调教过的马,练习马术的。
ちなみに、この馬の名前はカラヴァッジョというらしい。
父が名付けた。
祖父が飼っていた馬と同じ名前らしい。
理由はわからないが、父は動物を飼うと、必ず名前をつける。
そういう性格なのだろう。
顺便这匹马的名字好像叫卡拉瓦乔。
名字是父亲起的。
好像和祖父以前养过的马叫一样的名字。
虽然不知道为什么,但是父亲只要一样动物,就必定会给它们起名字。
可能就是这种性格吧。
リリは僕にもたれかかりつつ、先ほどの魔道具を弄っている。
移動中だろうがなんだろうが、お構いなしだ。
僕は彼女を落とさないように馬を操る。
慣れたものだ。
莉莉靠在我的身上摆弄着先前的魔道具。
不管现在是否是在坐在马上移动。
我小心翼翼地控制着马,防止她摔下去。
已经习惯这样了。
「それ、なんの魔道具なんだ?」
「……畑に水をやる魔道具です。棒につけて魔力を注ぐと、クルクル回りながら水を飛ばします」
「へえ……なんか使う奴にも掛かりそうだな」
「そうならないように改良してるところです」
【那是什么魔道具啊?】
【……是给田里浇水的魔道具。往这个棒子里注入魔力,水就会滴溜溜地转着飞出来】
【喔……但感觉这样水也会碰到使用的人身上啊】
【所以为了不这样,正在改进呢】
リリはそう言うと、またカチャカチャとやりだした。
莉莉这么说着,又开始摆弄起来了。
僕ら兄弟姉妹は馬術を習ったが、リリは馬術が得意ではない。
乗れることは乗れるのだが、リリが乗っていると、馬の方が混乱するのだ。
ついでにいうと、リリは道端に何か気にかかるものを見つけると、飛び降りてしまうこともある。
移り気なのだ。
そして背丈が低いので、乗り直すのにも一苦労する。
我们兄弟姐妹所有人都学习了马术,但莉莉并不擅长骑马。
骑是能骑,但只要莉莉一骑上去,马就会开始混乱。
还有就是,莉莉在路上发现什么感兴趣的东西,就会从马上下来。
莉莉她就是这种性格的人。
而且她身高也不高,重新骑上去也要花很大的劲。
さらにいうと、リリは方向音痴だ。
家から学校、家から仕事場といった道はさすがに迷わないが……。
しかし小さい頃は、よく道に迷っていなくなったものだ。
とはいえ、本人には迷っているという意識はない。
僕は迷ったリリをよく探しに行ったが、見つけるときょとんとした顔で首をかしげていることが多かった。
父と母が王立学校に行かせなかったのも、彼女の方向音痴を考慮したのかもしれない。
另外,莉莉还是个路痴。
从家到学校,从家到工作的地方,这些倒还不至于迷路……。
但是小时候,经常迷路走丢。
话说如此,本人是完全没有迷路了这意识。
我常会去找迷了路的莉莉,但每次找到她时她都是一脸茫然的表情,歪着脑袋一脸疑问地看着我。
这可能也是父亲还有母亲们不让她去王立学校上课的理由之一吧。
ともあれ、そういう事だから、遅刻しそうな時は僕が送ってやるのだ。
总之,就是因为这样,所以每次她快迟到了的时候,都是我送她过去。
「うひっ!」
【哇!】
と、唐突に背中に冷たい感触が伝った。
突然,背后传来一阵冰凉的感觉。
「キャァ!?」
「うわっ」
「冷たっ!」
【呀!?】
【呜哇】
【好冷!】
同時に、周囲を歩いていた人からも悲鳴が上がった。
同时,周围走着的路人们也都发出了悲鸣。
「リリ。冷たい」
「……ん、ごめんなさい」
「背中で魔道具を起動させるなって、いつも言ってるだろ」
【莉莉。好冷】
【……唔,对不起】
【我不是一直说,不要在背后启动魔道具吗】
リリが、俺の背中で魔道具を起動させたのだ。
よくあることだ。
今日は火だるまにならないだけ、マシと考えよう。
莉莉刚刚在我的背后启动了魔道具。
这也是常有的事。
今天没有变成火球还算好的了。
「あ」
【啊】
今度は小さな声と共に、唐突に背中からリリの気配が消えた。
落馬したのか?
そう思って背後を見ると、リリが駆けていく所だった。
大通りを横切って、パタパタと。
行き先は露天商だ。
这次伴随着莉莉轻轻地一声“啊”,我突然发现莉莉的气息从背后消失了。
她摔下去了吗?
我这么想着回过头,发现莉莉正朝着什么地方跑去。
横穿过大马路,啪嗒啪嗒地小跑着。
她的目的地是露天商贩。
「カラヴァッジョ」
【卡拉瓦乔】
馬を巡らせ、露天商の前へと移動する。
上から見下ろすと、どうやら魔力付与品マジックアイテムが置いてある店のようだった。
人の作る魔道具と、自然が作る魔力付与品。
似ているようで違うものだが、リリはどっちも好きだ。
そして、そういうものを見つけて飛びつくのも、いつものことだ。
我拉了拉缰绳,让卡拉瓦乔掉了个方向,朝着露天商贩那移动。
从上往下一眼看去,好像是有卖附魔道具的店。
人制作的魔道具,和自然产生的附魔道具。
两者虽然相似但又不同,不过莉莉无论是哪方都很有兴趣。
以及,每每看到这样的东西莉莉就会飞奔过去,这也是常有的事。
「――効果は?」
「この杖で相手をぶん殴ると、頭がキーンとするんだ。冷たい水を大量に飲んだ時みたいにな」
「いくらですか?」
「買うのかい? お嬢ちゃん、冒険者にも傭兵にも見えないが……」
「研究して、似たような魔道具を作ります」
「へぇ! さすが魔法都市シャリーアだ、そういう目的で買う者もいるんだねぇ! で、金はあんのかい?」
【——效果呢?】
【用这个杖敲别人的话,头会一阵疼,就好像喝了大量的冰水一样】
【请问多少钱?】
【想买吗?不过小姐你看起来不像是冒险者也不像是佣兵啊……】
【想要研究一下,然后做出类似的魔道具】
【噢!不愧是魔法都市夏利亚啊,还有这样目的的顾客啊!所以,小姐你有钱吗?】
リリは懐から重そうな袋を出すと、中から金貨を五枚ほど商人の前に置いた。
お値段ぴったり。
リリは馬術は苦手でも、計算と魔法陣を描くのは早いのだ。
莉莉从腰包里拿出一个看起来很沉的袋子,然后从中拿出了大约五枚金币放到了商人的面前。
价格正合适。
莉莉不擅长马术,但很算数和画魔法阵都很快。
「ん、どうぞ」
「ひょー、金持ちだなお嬢ちゃん。そんな大金を持ち歩くなんて」
「こういう時のためです」
「そうか。俺だったらスリが怖くてそんな無造作には持てねえが……ま、そのための護衛か」
【唔,给】
【哦呀,真是位有钱的小姐啊。带着这么多钱走在路上】
【就是为了碰到这种时候买魔道具的】
【是吗。换做我的话,肯定会害怕小偷不敢拿在身上啊……不过嘛,为此才带着护卫的吗】
商人はにこやかに笑い、僕を見た。
護衛とは僕のことだろうか。
商人笑嘻嘻地看向我。
护卫指的是我吗。
「護衛じゃないです。コレは兄さんです」
「そうなのかい? 髪の色以外はあんまり似てねえけど……」
「そんなことはない……あー」
【不是护卫。是哥哥】
【是吗?但除了发色之外一点也不像啊……】
【没有这回事……啊——】
馬の上から手を伸ばし、世間話をし始めたリリを引っ張り上げる。
我坐在马上伸出手,把开始闲聊的莉莉拉了起来。
「仕事、もう遅刻なんだから、急ぐぞ」
「うん。じゃあ、商人さん、さようならです」
「おう、毎度、スリと人攫いにゃ気をつけてな~」
【工作,马上就要迟到了,赶快走吧】
【嗯。那再见了,商人先生】
【噢,谢谢惠顾,当心小偷和人贩子啊~】
リリは完全に子供扱いされている。
リリは青髪の母の子供で、見た目が幼いからだろう。
言動や行動も子供のようだ。
ただ、うちの兄弟姉妹の中では、一番働き者だ。
一番働いていない僕がいうのだから、間違いない。
莉莉完全被人当作小孩来看待。
莉莉是蓝发妈妈的女儿,所以外表看起来很幼小吧。
而且她的言行举止也像个小孩一样。
但确实我们所有兄弟姐妹中,最能干的一个。
最不能干的我这么说,肯定没错。
「兄さん、これで頭叩いてみてもいいです?」
「ダメ」
「えいっ……んあー」
【哥哥,可以用这个敲下你的头试试吗?】
【不行】
【诶……唔啊—】
振り返ると、リリは自分の頭を抑えて悶えていた。
買ったばかりの魔力付与品の効果を、自分で試したようだ。
こういう時、ララ姉なら断ることなく、僕の頭を叩いたことだろう。
リリは自分で試さないと気がすまないのだ。
我回头一看,莉莉正捂着自己的脑袋扭动着身子。
看样子好像拿自己测试了一下刚刚买来的附魔道具的效果。
像这种情况,换做拉拉姐的话肯定问都不问,直接拿我的头来试了吧。
然后莉莉是不拿自己测试一下就不罢休的性格。
「すっごくキンキンする……兄さんも試してみます?」
「やめて。馬から落ちたら大変だ」
「……うん」
【好疼……哥哥也要试下嘛?】
【住手。万一从马上摔下来了拿可就不得了了】
【……嗯】
リリは残念そうに杖を腰に挿して、先ほどの魔道具をいじり始めた。
そのまましばらく無言で馬を進めると、目的地が見えた。
ザノバ商店の持つ工房だ。
僕は店の前で馬を止めると、リリを下ろした。
莉莉满脸可惜地把杖别在了腰上,开始研究去之前的魔道具了。
然后我们就这么无言地骑着马前进着,到了目的地。
扎诺巴商店的工房。
「はい到着」
「ありがとう、兄さん」
「いいってことよ。帰りは?」
「一人で帰れます」
「そっか、気をつけてな」
「うん」
【好了,到了】
【谢谢哥哥】
【没事啦。回去的时候怎么办?】
【一个人可以回去】
【是吗,那路上小心啊】
【嗯】
リリはパタパタと工房へと入っていこうとして、ふと振り返った。
莉莉啪嗒啪嗒地跑向了工房,然后突然转过了身。
「あ、兄さん」
「ん? 何だ? 忘れ物か?」
「もし兄さんが働きたいと思ったら、私の所で雇ってあげても、いいですよ?」
「お抱えの御者としてか?」
「使い走りとして。兄さん、魔道具とかにも理解あるから、便利そう」
「考えとくよ」
「ん」
【啊,哥哥】
【嗯?怎么了?忘了什么东西吗?】
【如果哥哥想工作的话,我可以雇你哦?】
【私人车夫吗?】
【跑腿。哥哥能理解魔道具之类的东西,所以好像很方便】
【我会考虑的】
【嗯】
リリは頷くと、今度こそ工房の中へと入っていった。
莉莉点了下头,这次她真的进了工房。
それにしても、妹にまで仕事の心配されてしまうとは。
彼女も僕の無職については理解がある方だが、やっぱり良い状態だとは思っていないのか。
不过话说回来,连妹妹都在担心我的工作吗。
她也是能够理解我不去工作的人,但果然还是觉得这样的状态不太好吗。
「……」
【……】
それにしても、さっきの商人の言葉じゃないが、本当にスリと人攫いが心配だな。
ある日突然いなくなって、奴隷市場に並べられてる、なんてことがなければいいが……。
不过,倒不是因为刚刚商人的那番话,我是真的担心莉莉遇上小偷或者人贩子。
希望不要哪天突然找不到人了,然后出现在奴隶市场里……。
まあ、あれでいてグレイラット家の淑女だ。
馬術は下手でも、剣術と魔術は人並み以上にできる。
その上、この町においてグレイラット家は力を持っている。
グレイラット家の人間に手を出そうなんて者が、そうそういるとも思えない。
嘛,她那样也是格雷莱特家的淑女。
虽然不擅长马术,但剑术和魔术都比普通人要强。
而且,在这座城市里,格雷莱特家有很大的影响。
我不认为会有敢对格雷莱特的人出手的家伙。
「滅多なことはないか」
【但没有什么事是绝对的】
そう呟きつつ、僕はその場を後にした。
我嘀咕着,离开了工房。
□
そうして、いつも通り町をブラブラし、やってきたのは、いつもの店。
『酔いどれゴブリン』。
それはこの町で、一番目立たない所にある酒場だ。
いわゆる場末の安酒場。
どこにいってもデカい顔ができなさそうな小悪党が集まる場所だ。
然后,我一如既往的在城里到处转悠,最终来到了一直光顾的那家店。
【醉鬼哥布林】
这是这座城市里,最不起眼的地方的一座酒馆。
换句话说就是郊区的便宜的小酒馆。
无论在哪都不敢趾高气昂的小恶党门聚集的地方。
善良なる僕がなぜそんな所に、と人は思うかもしれない。
だが、僕も悟ったのだ。
チェダーマンが戦っていたような、カラッと分かりやすい悪は存在しないということを。
可能有人会想,像我这么善良的人为什么会出现在这种地方。
但是,我也看透了。
这个世界上并不存在像与奶酪超人战斗的显而易见地“恶”。
そう、本当の悪は表に出てこない。
悪はいつだって陰湿で、陰険だ。
何かの影に隠れながら、コソコソと裏で活動している。
没错,真正的邪恶是不会表现出来的。
邪恶无论什么时候,都是阴湿,阴险的。
躲藏在什么的影子里,在背后偷偷摸摸地做着些什么。
そうした悪を成敗したいのなら、自分自身も悪のいる場所に赴かなければならない。
悪の中に身を置く事で、悪の情報を得るのだ。
要惩罚这样的邪恶的话,那我自己也不得不前往这样的恶存在的地方。
混进邪恶之中,从中取得情报。
「お」
【哦】
そう思いつつ酒場にはいると、僕はいつもの顔を見つけた。
頭頂部のハゲた小男。情報屋のジョルジュだ。
我这么想着进了酒馆,发现了熟人的脸。
头顶秃了的矮个子男人。情报贩子乔尔乔。
「よう、ジョルジュ、景気はどうだい?」
「ジークか……ま、悪くねえな。少なくとも、今宵の酒代はバッチリだ。なんだったらおごってやるよ」
「いいのか? サンキュー。あ、でも酒はダメだぜ」
「わかってるよ」
【哟,乔尔乔,最近生意怎么样啊?】
【吉克吗……嘛,不算差吧。至少今晚的酒钱是完全够了,要我请你一杯吗】
【可以吗?谢了。啊,但是酒就算了】
【我知道】
ジョルジュは給仕に飲み物の追加を頼んだ。
僕は対価を受け取らないし、払わないが、好意は受ける。
好意とは、正義の味方の相棒だからだ。
乔尔乔又点了些饮料。
我不收取报酬,也不支付报酬,但会接受别人的好意。
好意,是正义的伙伴的伙伴。
「お前さんの方はどうだい、ジーク。景気はよ」
「僕は無職だぜ? 景気の良いも悪いもねえよ」
「ハハッ、そりゃそうだ。じゃあ、なんか面白い事でもなかったか?」
【你呢,吉克。生意还好吗】
【我可没有工作啊?哪来什么生意好不好的】
【哈哈哈,也对。那你有什么有趣的消息不?】
『世間話』は、時に僕の方からすることもある。
なにせ、世間話だからな。
どっちからしたっていいのだ。
【闲话】有时会从我这里开始。
因为是闲话。
所以无论由谁开始都无所谓。
「別に面白いことなんかねえよ。朝は遅刻した妹を仕事場に送って、昼はガキが路地で転んで泣いてたから治癒魔術を掛けてやった。ああ、あと市場にスリがいたから、足を引っ掛けて転ばしてやったな」
「妹ってのは、ララの方かい? それともリリの方かい?」
「リリの方だよ。今、この町にいる俺の妹って言ったら、リリしかいねえ」
「ああ、そうだったな。悪い悪い、名前が似てっから、ちょっとこんがらがっちまってよ」
【没什么有趣的消息。就是早上送了迟到了的妹妹去工作的地方,中午看到一个小孩在路上摔倒了哭了,然后用治疗魔术治好了他。啊对了,还有就是市场那有个小偷,我伸脚绊倒了他这样吧】
【妹妹是拉拉?还是莉莉?】
【莉莉,现在这城里的妹妹,只有莉莉】
【哦哦,对哦。抱歉抱歉,这两人名字太像了,不太好分啊】
今日のジョルジュはリリのことについて知りたいらしい。
彼はよく、僕の家族についての話を聞く。
グレイラット家の情報は、高く売れるのだろう。
僕のいう言葉だから、信憑性も高いだろうし。
今天的乔尔乔好像想知道关于莉莉的消息。
他常向我打听我家族的事。
格雷莱特家的情报一定可以卖得很贵吧。
而且因为是我说的,所以可信度也很高吧。
「魔道具や魔力付与品を買い漁る道楽者って噂もあるけど、どんな娘なんだ?」
「そうだな……魔道具や魔力付与品を買い漁るってのは間違いじゃないが、ただの道楽じゃない。そういうのが個人的に好きなのは間違いないけど、あくまで仕事のためだよ。ザノバ商店の新商品を開発するためのな」
「新商品ねえ、それって、売れてんのか?」
「さあ、何を作ってるかまでは、知らねえし」
【听说她是个喜爱到处寻找魔道具或者附魔道具的放浪的人,具体是怎么样的啊?】
【嗯……喜欢到处买魔道具或者附魔道具到是没错,不过并不放浪。这些都是她个人的兴趣没错,不过都只是为了工作而已。为了扎诺巴商店的新商品开发】
【新商品啊,那个有在卖吗?】
【不知道,她具体在做些什么我不清楚】
ジョルジュがどこに我が姉や妹の情報を売っているのかは知らない。
だから、僕も重要な情報を喋ったりはしない。
まあ、何を作ってるとかは、本当に知らないんだが。
我不知道乔尔乔想把我姐姐还妹妹的情报卖到哪去。
所以我也不会把重要的事透露给他。
嘛,不过我是真的不知道莉莉她要做些什么。
「お前の方はどうだ? なんか面白いことはねえのか?」
「面白いことねえ……いつもの感じか?」
「そう、いつもの感じだ」
【那你那怎么样?有没有什么有趣的消息?】
【有趣的消息啊……和平时一样?】
【是啊,和平时一样】
ちなみに、どうやらジョルジュは、僕が正義の味方であることを、薄々感づいているようだ。
そうだろうとも、自分が情報を流した結果、その悪党が退治されるのだから。
そんなことにも気づかない奴が、情報屋として仕事が出来るとは思えない。
顺便,乔尔乔好像隐约察觉到了我就是正义的伙伴。
这也不奇怪,因为自己放出情报的结果,导致那个恶党被惩办了。
要是连这种事都察觉不到的家伙,我觉得是没办法做情报贩子的。
「面白くはねえんだが、ちと変な噂を耳に挟んだぜ」
「変な噂?」
「こっから西にいった所にある街道で、盗賊団が出没するようになったって話だ」
「……それは、珍しくもないだろ」
【没什么有趣的消息,不过我听到一些奇怪的传闻】
【奇怪的传闻?】
【从这往西边的一条街道,那里有一批盗贼出没】
【……这个一点也不稀奇吧】
魔法都市シャリーアは治安の良い町だが、それでも城壁の外に出れば無法地帯だ。
街道に盗賊団が出没するなど、日常茶飯事だ。
そのうち、国から騎士か兵士が派遣されて、退治されるだろう。
魔法都市夏利亚是座治安很好的城市,但离开了城墙外便是无法地带。
街道出现盗贼也是见怪不怪的事。
到时候会国家会派骑士啊或者士兵过来扫荡掉的吧。
正義の味方たる僕が行ってもいいんだが……西の街道となれば、一日掛かるだろう。
せめて夜に出て、夜のうちに帰れる所がいい。
できれば町中で。
町の外は正義の味方の管轄外なのだ。、
虽然身为正义的伙伴的我去处理也可以……但到西大道那的话,要花上一整天的时间吧。
最好是能够晚上出去晚上回来的地方。
所以最好是在城里。
城外不在正义的伙伴的管辖范围内。
「いや、それがな。その盗賊団が、夜な夜な、奴隷市場でさらってきた女子供を売っぱらってるって言うんだよ」
【不,不光这样,那个盗贼团啊,每晚都去奴隶市场贩卖下拐来的女人啊孩子】
奴隷市場か。
それなら近い。
奴隶市场吗。
这个到是挺近的。
「特徴は?」
「詳しいことは知らねえが……リーダーが赤いバンダナをつけているらしい。それから――」
【特征呢?】
【具体的我不知道……不过他们的首领好像戴着红色的印花大手帕。然后——】
ジョルジュから、一通り、その悪党の情報を引き出す。
その後、いつものように世間話が始まる。
ここからは、本当に世間話だ。
ジョルジュの愚痴を聞いたり、近所の妙齢な女性の尻について熱く語ったり。
乔尔乔大致地把那群恶党的情报说了一遍。
之后就和平时一样开始闲聊了。
那之后真的只是一般的日常。
听听乔尔乔发牢骚,针对附近的妙龄女性的屁股进行探讨。
もちろん、会話をするのはジョルジュだけではない。
僕は他の顔見知りとも何人か世間話をして過ごした。
当然,和我说话的不光是乔尔乔。
我还会和其他熟人闲聊。
□
深夜。
僕は酒場から出た後、町中にある空き地へと赴いた。
そして、空き地の中央にあるロープを引っ張る。
ガポリと音がして開くそこは、秘密基地だ。
幼い頃に、兄や姉と一緒に作った場所だ。
テーブルやクローゼット、絨毯やクッションを運び入れ、僕らの場所にした。
当時は、よくここで一緒に遊んだものだ。
深夜。
我从酒馆离开后,来到了城中的空地。
然后我拉了下空地中央的绳子。
哐当地响了一声后打开了的地方是我的秘密基地。
小时候和哥哥还有姐姐一起造的。
我们把桌子啊衣柜、毛毯还有枕头都搬了进去,打造成了属于我们的地方。
当时常来这里一起玩。
この基地は妹達に引き継がれることなく、最後の住人である僕が受け継ぐこととなった。
小さなベッドやクローゼットは、昔のままだ。
あるいは僕も、昔のまま、変わらないのかもしれない。
这个基地没被妹妹她们继承,而是由最后的住人我继承了。
小小的床还有衣柜也和以前一样没有变化。
或者说我,我可能也和以前一样,没有任何成长。
「なんてね」
【嘛……】
うそぶいて、クローゼットから、あるものを取り出す。
黒い兜だ。
この頭全体を覆う兜は、かつて父に連れられて訪れた、龍神オルステッド様の居城にあったものだ。
ちなみに居城といってもさして大きくはない。
地上にある建物の大きさで言えば、我が家よりも小さいぐらいで、父はそこを事務所と呼んでいる。
が、町の人はみんな居城と呼んでいる。オルステッド様の住居を城と言わないことが不敬に当たると思ったのかもしれない。
僕もそれに釣られたのか、いつしか居城と呼ぶようになった。
まあ、それはさておき。
我从衣柜里取出了一样东西。
黑色的头盔。
这个将头整个覆盖住的头盔,是曾经父亲带着我造访的,龙神奥尔斯特德大人所住的城堡里的东西。
顺便,那地方并没有大到可以成为是城堡。
地上的建筑物的大小,比我家还小,父亲把那叫作事务所。
但是,城里的大家都叫那里为城堡。可能是因为把龙神奥尔斯特德大人住的地方不叫做城堡是一种很失敬的行为。
所以我也有样学样的,不知从合适开始称呼那为城堡了。
嘛,这些先放一边。
この兜はその居城にある地下倉庫に大量においてあったのだ。
二十、いや三十はあっただろうか。
これと同じような、しかし少しずつデザインの違う黒い兜が、ずらりと棚に陳列されていた。
さながら、防具屋の一角であるかのように。
在那城堡下的地下仓库里存放着很多这样的头盔。
估计有二十,不,三十来个吧。
和看起来一样的,但有有些不同同的黑色头盔,整齐地成列在那里。
就好像是防具店的一角一样。
僕はその中の一つに惹かれた。
とてもかっこいい兜があったのだ。
もちろん、恰好いいからって盗んだわけじゃない。
いくら子供時代の僕がアホだったからって、父の仕える人物の持ち物を盗むほどではない。
我被其中的一个头盔吸引。
非常帅气的头盔。
当然,我并没有因为看起来帅气就把头盔偷了过来。
就算儿童时代的我是个笨蛋,但还不至于蠢到会偷父亲侍奉的人的东西。
もらったのだ。
手に取って感嘆の息をついていると、いつしか背後に近寄っていたオルステッド様が「貴様にそれをやろう」と言ったのだ。
その日から、この兜は僕のものになった。
オルステッド様は似たデザインのものをいつも身に着けているし、似たような兜をいくつも持っているが、これは僕のだ。
それを示すため、僕は兜の額に三日月の紋章を彫り、この兜をムーンナイトの代名詞としたのだ。
这个是送给我的。
不知何时奥尔斯特德大人来到了我的背后,对着拿着头盔感叹的我说【这个就送给你了】。
那天之后,这个头盔就是我的东西了。
奥尔斯特德大人一直带着和这个造型相似的头盔,还有好几个和这个很像的头盔,但这个是我的。
为了彰显着点,我在头盔的额头处刻了一个新月的文章,这个头盔是作为月之骑士的代名词。
「……」
【……】
黒ずくめの服装に着替え、そして兜をかぶる。
最後に暗い色のマントを羽織れば、鏡に映る姿は正義の味方『ムーンナイト』。
我换上了黑色的衣服,然后戴上头盔。
最后披上暗色的披风,镜子中映射着的是正义的伙伴【月之骑士】。
今日もまた、この町の悪を倒すのだ。
今天也要打倒城里的邪恶。
R:呜……该死,果然仅凭我一个人的力量还是无法完全封印住黑炎龙吗!可恶,沉静吧,我的右眼!……嘛,带着眼罩再带眼镜好奇怪啊……希望以后医院可以把医用眼罩换成黑色…至少是黑色嘛……
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白色也足够硬派( -`ω-)b