『网络小说』Jobless・Oblige(二)
1章 参上、その名はムーンナイト
1章 登场,其名为月之骑士
2話 現在の無職
2话 现在的无职
□ □ □
「ジーク!」
【吉克!】
声が聞こえた。
毎日聞いている声だ。
听到了声音。
每天都会听到的声音。
「いつまで寝てるの! 起きなさい!」
【你打算睡到几点啊!快起来!】
目が覚める。
体を起こし、窓の外を見ると、太陽はとっくに天高く登っていた。
窓と逆の方を見ると、白い髪の母が腰に手を当てて、僕を睨んでいた。
醒了。
我从床上坐了起来,看向窗外,太阳早就升上天了。
当我将头转向了与窗相反的方向,看到白色头发的妈妈正双手叉腰地站在那里,看着我。
「ご飯、片付かないから、さっさと食べて」
「……ああ」
【饭,我还没收拾掉,赶快去吃吧】
【……嗯】
母の言葉に従い、僕は着替えもせずに部屋を出た。
我听从妈妈的话,连衣服都没换就离开了房间。
「部屋、勝手に掃除するからね!」
「はーい」
【房间我就直接打扫了啊!】
【好—】
母の言葉に適当に返事をしつつ、廊下を歩き、階段を降りる。
我随意应付了下妈妈,走下了楼梯。
「おはよ」
「……おはよう」
【早】
【……早安】
食堂には、赤い髪の母がいた。
彼女は僕の姿を見つけると、ジロリと睨んできた。
红头发的妈妈在饭厅里。
她看到了我的,瞪了我一下。
「さっさと食べなさい」
「……はい」
【赶紧吃完】
【……嗯】
僕の席には、上から布を被せられたバスケットがあった。
布を取り去ってみると、パンにスープにサラダといった、普通の朝食が並んでいる。
もちろん、とっくに冷めてしまっている。
在我的位子上,有一个被白色布头罩着的篮子。
掀开布头,就看到篮子里装着面包、汤还有色拉,很普通的早饭。
当然,早就已经冷掉了。
僕は赤母に睨まれたまま、食事をする。
冷めた食事が嫌なわけではないが、睨まれながらだと、少々食べにくい。
我一边被红妈妈瞪着,一边开始吃起了早饭。
我并不讨厌吃冷掉的饭,但是被人这么瞪着,稍微有点难下口。
「あんた、今日はどうすんの?」
「……どうもしないよ」
「仕事ぐらい探しなさいよ」
「赤ママ、何度もいうけど、僕は今の状態に誇りを持っているんだ」
【你,今天有什么打算?】
【……什么都不做啊】
【至少去找找工作】
【红妈妈,我说过很多次了,我对现在的这个状态感到骄傲】
そう言うと、赤髪の母の機嫌がみるみる悪くなっていくのがわかる。
赤髪の母は、とても恐ろしい。
幼い頃、僕らが間違ったことをしでかせば、すぐに捕まえて真っ赤になるまで尻を叩かれた。
成人してからはそうした事も減ったが、未だに苦手意識がある。
我这么说道,就发现转眼间红头发的妈妈心情开始变差了。
红头发的妈妈非常的吓人。
小时候,我们只要做错了什么,她就会马上抓住我们把我们的屁股打到通红。
15岁成人之后这种情况变少了,但是我到现在还是很害怕她。
「誇りって何よ」
「誇りは誇りだよ。今の僕は、とても誇り高い生き方をしているのさ」
「私には、とてもそうは見えないわ」
「それは赤ママが、僕の一面しか知らないからさ」
「……」
【骄傲是什么啊】
【骄傲就是骄傲啊。现在的正在以一种非常骄傲的方式生活着】
【我看不出来】
【那是因为红妈妈只知道我的一面而已】
【……】
赤髪の母はあまり口がうまくない。
口論になると、勝てる相手は少ない。
でも、剣術に関して言えば、世界中を見渡しても勝てない相手の方が少ない。
だから、言い返す言葉が見つからない時は、無言で相手をぶん殴る。
ついたアダ名は『狂犬』だ。
红发妈妈不太擅长说话。
如果开始辩论,她能赢过的人很少。
但是,若是论剑术的话,整个世界她赢不过的人更少。
所以,在她不知道该怎么回答别人的时候,就会无言地殴打对方。
因此获得的称号就是【狂犬】。
でも、彼女は家族を殴らない。
僕がよっぽど悪いことをしない限り、彼女は殴らない。
こうして、口をへの字に結んで、無言で睨みつけてくるだけだ。
但是,她并不会对家人动手。
如果不是我做了非常坏的事,她不会打我。
只会像这样,嘴巴变成“へ”的形状,无言地瞪着我。
「……」
【……】
僕は彼女の視線から逃げるように、せかせかと朝食を食べ終えた。
母を不機嫌にさせることは、本意ではないのだ。
我像是为了从她的视线下逃走一样,飞快地解决了早饭。
我并没有想要惹妈妈生气。
「ごちそうさま」
「暇なら、せめてロキシーにお弁当届けて。また忘れていったのよ」
【我吃饱了】
【如果你没事干的话,那至少去把这便当给洛克希送去。她又给忘了】
そう言われて見ると、テーブルの隅に、四角い弁当箱が置かれていた。
听我妈妈这么一说,我发现桌子的一边放这一个正方形的便当盒。
「青ママ、また弁当忘れたんだ……」
「仕事らしい仕事をしてないんだから、それぐらいはしなさい。いいわね?」
「はい。わかりました」
【蓝妈妈,又忘记便当了吗……】
【你连份像样的工作都没,至少帮帮家里人吧。知道了吗?】
【嗯,我知道了】
僕は食べ終えた食器を片付けると、弁当箱を手に、逃げるように食堂から出ようとした。
我把餐具收拾完后,拿起了便当盒,好像要逃跑一般离开了饭厅。
「あ、ジーク……お弁当、届けてくれるの? ありがと」
【啊,吉克……你要去送便当吗?谢谢】
食堂を出ようとした所で、白髪の母が食堂に入ってきた。
在我打算离开的时候,白头发的妈妈进来了。
「出かけるなら、ちゃんと着替えてよ?」
「はーい」
「それから歯も磨いて……」
「わかってるわかってる」
【如果要出门的话,要把衣服换好哦?】
【好】
【还有牙齿也要刷……】
【我知道了知道了】
白髪の母の言葉から逃げるように、僕は自室へと戻った。
我又像是逃跑一般,回到了自己的房间。
「もう!」
【真是的!】
後ろから聞こえる母のため息を聞き流しながら。
从身后可以听到妈妈叹气的声音。
□
僕の名前はジーク。
ジークハルト・サラディン・グレイラット。
皆からはジークと呼ばれている。
我的名字叫吉克。
吉克哈特・萨拉丁・格雷莱特。
ラノア王国の魔法都市シャリーアに居を構えるグレイラット家の次男で、六人の兄弟姉妹の上から四番目。
姉が二人、兄が一人、妹が二人。
是住在拉诺阿王国的魔法都市夏利亚的格雷莱特家的次男,六人的兄弟姐妹中的第四个。
姐姐有两个,哥哥有一个,还有两个妹妹。
職業は無職だ。
兄のように父の仕事を手伝うわけでもなく、
上の姉のように誰かと結婚するというわけでもなく、
下の姉のように何かの研究を始めるというわけでもなく、
上の妹のように商会に就職するというわけでもなく、
下の妹のように学校に行っているというわけでもなく、
学校を卒業したあと、仕事もせずにブラブラとしている。
职业是无职。
我并不像哥哥那样辅佐着父亲的工作,
不像大姐那样和谁结婚,
不像二姐那样开始研究什么东西,
不像妹妹那样在商会里工作,
更不像最小的妹妹那样上学,
从学校毕业之后,我一直没有找工作,在家里无所事事。
だが、別に僕は今の状況に不満や焦りがあるわけではない。
むしろ、僕は無職であることに、誇りを持っている。
但是,我并没有对现状感到不满,也没有感到焦虑。
不如说我对自己没有工作这事,感到骄傲。
人は誰しもしがらみに縛られている。
金、名誉、栄光。
そうしたものを手に入れるため、時には己を曲げ、笑いたくない時にも笑い、悪を看過し、弱者を見捨てる。
人无论是谁都会被束缚。
金钱、名誉、荣光。
为了将这些东西揽入手中,有时会扭曲自己,不想笑的时候笑,对恶熟视无睹,抛弃弱者。
でも、無職は、それをする必要は無い。
無職は、対価や報酬を貰わないからだ。
己を曲げず、笑いたい時にだけ笑い、悪を断罪し、弱者を助ける。
それができるのは、無職であるものだけだ。
無職とは、気高い生き方なのだ。
但是,没有工作就不必担心这些。
无职是因为没有索要过回报或者是报酬。
保持自己,想笑的时候就笑,发现了恶了便将其惩办,帮助弱者。
だから、僕は仕事につかない。
仕事をするということは、対価を得るということだ。
冒険者でも、職人でも、商売人でも、それは変わらない。
対価を得るということは、しがらみができるということだ。
しがらみに縛られて生きるのが悪いことだとは言わないが、気高いとはいえない。
所以我不工作。
工作就意味着会获得回报。
冒险者也好,工人也好,商人也好,全都一样。
获得回报也就是说会被束缚。
我并不说被这些东西束缚着活着是不好的事情,只是并不高尚。
僕は無職になってからというもの、一度も対価を要求したことはない。
でも、勘違いしないで欲しい。
対価は貰わないが、人の頼みを断ったこともない。
我成为无职之后,一次也没有所求过回报。
但是,请不要误会了。
我虽然不收取回报,但并不会拒绝别人的请求。
無償で人の役に立つ。
それこそが僕の提唱する、気高き無職なのだ。
无偿地帮助别人。
这才是我所提倡的,崇高的无职。
「ああ、ジーク。ありがとうございます。危うくお昼抜きで過ごすはめになる所でした」
「どういたしまして」
【啊,吉克。谢谢你。差一点今天就要不吃中饭了】
【不用谢】
家を出てから小一時間後。
僕は魔法大学に赴き、そこに務める青髪の母にお弁当を届けていた。
仕事の無い僕にとっては、まさにお安い御用といった所だ。
从家出发后约一个小时。
我到达了魔法大学,把便当送给了在那里上班的蓝头发的妈妈。
对没有工作的我而言,根本就是小事一桩。
「ご褒美に、お小遣いでも上げましょうか?」
「いらないよ。こんなことでご褒美なんて」
「そうですか……」
【作为奖励,多给你一点零花钱吧?】
【不用了。这么小事就给奖励什么的……】
【是吗……】
そして、報酬も受け取らない。
無職は報酬を受け取るべきではない。
タダより安い御用は無いのだ。
就像这样,报酬也不收取。
无职的人不该收取报酬。
没有比免费给便宜的了。
「でも、就職活動するのに、お金はいるでしょう?」
「あっはっはっは。あ、もうこんな時間だ、続きはまた今度」
「あ、こら、ジーク……」
【但是,找工作的话,需要钱不是吗?】
【啊哈哈哈。啊,已经这个时间了啊,这事以后再说吧】
【啊,等下,吉克……】
僕は笑ってごまかしつつ、その場を後にした。
青髪の母は何か言いたそうだったが、最後に一言「ありがとう」と言って、僕を見送った。
我笑着糊弄了过去,离开了那里。
蓝发妈妈好像还想对我说什么,但最后只说了一句【谢谢】,就目送我离开了。
お気づきの者もいると思うが、僕には母が三人いる。
白髪の母と、赤髪の母と、青髪の母だ。
父は裕福だったし、ミリス教徒でもないため、妻を三人娶ったのだ。
僕は白髪の母の息子だが、母親がそれぞれの息子や娘を贔屓することはない。
逆に、僕ら子供たちも、母たちを全て同様に母として扱う。
ミリス教徒の知り合いに言わせると、自分と血のつながらない相手を母とするのは意味がわからないそうだが、僕にとっては当たり前のことだ。
我想应该有人发现了吧,我有三个妈妈。
白色头发的妈妈,红色头发的妈妈,蓝色头发的妈妈。
父亲很富有,也不是米利斯教的教徒,所以娶了三个妻子。
我是白色妈妈的儿子,但是三个妈妈都没有偏爱过各自的亲生儿子或女儿。
反过来也一样,作为孩子的我们,也把所有的妈妈视作自己的亲生母亲。
我把这事告诉了我的一位米斯利教的朋友,他好像不太明白把和自己没有血缘关系的人当作妈妈有什么意义,但对我而言这事理所应当的事。
母は贔屓することなく、僕ら子供たち全員の面倒を見てくれた。
そして現在、無職の僕に対しても贔屓することなく、毎日のように「仕事をしろ」と言ってくる。言葉こそ違うものの、誰もが、だ。
僕がどれだけ気高い無職について説明しても、理解してはくれないのだ。
妈妈们没有偏爱,照顾我们所有人。
然后现在,对没有工作的我也一样,每天都对我说【去工作】。虽然并不是都是这么说的,但无论是谁都是这个意思。
无论我怎么向她们解释我是值得骄傲的高尚的无职,但她们还是没办法理解。
まあ、さすがに理解されないのはわかっている。
母たちからすると、僕は家の手伝いはするものの、穀潰しだ。
もし僕の家が裕福でなければ、とっくの昔に家から叩きだされていただろう。
うん。わかってる。
今、こうして偉そうなことを言えているのは、両親のお陰だ。
仕事をしろとは言いつつも、家から叩きだそうとまではしない母たちには、感謝している。
嘛,后来就连我也知道了,她们没办法理解。
在妈妈们看来,我只是一个会帮家里忙的饭桶。
如果我的家并不富裕的话,可能我早就被赶出去了吧。
嗯,我知道的。
现在,之所以能够这么趾高气昂,都是靠的父母。
我很感谢虽然嘴上一直说着让我去工作,但并没有把我从家里赶出去的妈妈们。
とはいえ、僕は父のことは避けていた。
父に何かを言われるのは、正直、怖かった。
父が僕の現状を見て何と言うのか……。
幼い頃から父を尊敬してきたからこそ、それが恐ろしくてたまらない。
话虽如此,但我一直躲着爸爸。
说实话,我很害怕,很害怕被爸爸什么。
爸爸看到现在的我会说什么呢……。
正是因为爸爸是我从小就一直尊敬着的爸爸,所以我才害怕得不行。
なので、昼間はこうして出歩いている。
この町、魔法都市シャリーアは狭いようで広い。
父の行きそうな所にさえ出向かなければ、そうそう会うことは無いだろう。
魔法大学は出没率がそこそこ高い方だが、今日の父は出張でアスラ王国だ。
いきなり家に帰ってくることはあっても、魔法大学に顔を出すことはないだろう。
つまり、家にはいられない。
母達にも叱られるし、あまりいたくもない。
所以,我白天就会像这样外出。
这个城市,魔法都市夏利亚说大不大说小不小。
若不是去到父亲可能会去的地方的话,并不太容易会碰到他吧。
爸爸出现在魔法大学的几率还是挺高的,不过他今天出差去阿斯拉王国了。
虽然有时会突然回家,但不会去魔法大学吧。
也就是说,不能呆在家里。
而且还会被妈妈们说,所以并不想留在那。
というわけで、僕は魔法大学の一角。
研究棟の一室へと訪れていた。
所以,现在的我在魔法大学的一角。
来到研究楼里的一间房间前。
「ララ姉、いるー?」
【拉拉姐,在吗?】
ノックもせずに扉を開けると、そこはごちゃっとした部屋だった。
何に使うのかわからないガラクタや、大量の紙が散らばっている。
紙に書かれているのは、主に魔法陣だ。
我门都没敲便打开了房门,里面是乱糟糟的房间。
不知道是用来做什么的东西,还有大量的纸散落在房间里。
纸上画着的,主要都是魔法阵。
僕は紙を踏まないように部屋へと入り込んだ。
すると、部屋の奥から、のっそりと巨大な犬が姿を表した。
3メートル近い大きさを持つ、大きな犬。
これが僕の下の姉。
ララ・グレイラットだ。
彼女は成人するまで人間だったが、獣族の成人の儀式を終えて帰ってくると、毛深くなってしまった。
我小心翼翼地避开地上的纸张,进入了房间。
然后在房间的里面看到一条巨大的狗。
将近3米大小的,巨大的狗。
这就是我的姐姐。
拉拉・格雷莱特。
她在成人前还是人类,但等兽族的成人仪式结束回来后,毛就长长了。
「わんっ!」
「……」
【汪!】
【……】
というのは嘘だ。
この犬は我が家のペットのレオ。
彼は常に姉に従い、姉の身を守っている。
保護者であり、守護者だ。
ついでにいうと、奔放かつ気まぐれな姉の一番の被害者でもある。
那是骗你的。
这条狗是我家的宠物,雷欧。
它一直在我姐姐的身边,守护着我的姐姐。
既是保护者也是守护者。
顺便还是奔放外加随心所欲的姐姐的第一受害者。
「ララ姉は奥?」
【拉拉姐在里面?】
こくりと頷いたレオに従い、隣の部屋を見てみる。
妙に生活臭のあるそこにはベッドが設置され、ベッドの上では一人の少女が眠っていた。
14歳ぐらいに見える、青色の髪をした少女だ。
魔族である青髪の母の娘であるがゆえ、見た目は14歳ぐらいだが、とっくに20歳は越している。
ちなみに独身だ。
雷欧点了点头,我便看了看隔壁的房间。
与这间不同,微妙的有着生活气息的房间里布置着一张床,床上睡着一位少女。
看起来像是14岁左右,蓝色头发的少女。
因为她是身为魔族的蓝发妈妈的女儿,外表看起来像14岁左右,但实际早就过了20岁了。
顺便,现在还是单身。
「ごがー……ぐがー……」
【呼……呼……】
彼女はパンツ一丁シャツ一枚というあられもない姿で、へその近くをボリボリと掻きながら眠っていた。
寝相は悪く、いびきも凄い。
色気は皆無だ。
こういうのが好きだって人もいるだろうが……。
独身も当然か。
她的下半身只穿了一条内裤,上半身也只有一件衬衫一副不成体统的样子,还一边用手挠着肚子的附近,一边熟睡着。
睡相很差,呼声也很大。
完全没有魅力。
会有人喜欢这样的人吗……。
所以单身也是正常的。
僕は寝室への扉をそっと閉めると、研究室へと戻った。
一つだけある椅子に座る。
王族がプライベートで使うような、ふかふかの椅子で、確か特注品だ。
我轻轻地关上了寝室的门,回到了研究室。
坐在整间房间里唯一的椅子上。
好像是王族私下里用的,软软的椅子,我记得是特地找人定做的。
周囲に散らばっている紙を一枚、手にとって見る。
書かれているのは、魔法陣だ。
恐らく、召喚系魔術の魔法陣だろう。
我捡起了散落在地上的一张纸。
上面画着魔法阵。
应该是召唤系魔术的魔法阵吧。
姉はアスラ王立学校を卒業した後、ラノア魔法大学で研究者となった。
研究内容は、召喚魔術と占命魔術。
姐姐从阿斯拉王立学校毕业后,成为了拉诺阿魔法大学的研究者。
研究内容是召唤魔术和占命魔术。
召喚魔術とは、遠方や別世界から魔獣を呼び出したり、擬似的な生命体を作り出す魔術。
占命魔術とは、未来に起こりうる出来事や、選択の是非を占う魔術だ。
具体的にそれら魔術のどんな研究をしているのかはわからないが……。
召唤魔术是能从远方或者其他世界召唤出魔兽或做出疑似生命体的魔术。
占命魔术是占卜未来会发生的事或选择对错的魔术。
具体针对这些魔术在研究些什么我并不知道……。
なんにせよ、姉はほぼ毎日を寝て過ごしている。
学校から支給される研究資金で、ぐーたらと食っちゃ寝の日々を送っているのだ。
気高くはない。
が、僕と似たようなものなのだろう。僕の気高い無職理論の、数少ない理解者でもある。
因为,姐姐她几乎每天都在睡觉。
靠着学校给与的研究资金,每天过着游手好闲,吃饱了睡睡饱了吃的生活。
一点也不高尚。
但是,和我有些地方很像。所以她是少数能够理解我崇高的无职理论的人。
「でもまあ、暇な時間に結構研究してるんだな……」
【但是嘛,她没事的时候还是一直有在做研究的吧……】
前に来た時より、紙の数が増えている。
あれこれと理論を書いたメモもある。
単に昼間は寝て、夜に活動しているだけかもしれない。
现在比我以前来的时候,地上的纸头变多了。
还有写着各种理论的笔记。
可能她只是白天睡觉,晚上工作吧。
「わふ」
【汪】
紙を見ていると、レオが近づいてきて、僕の膝に頭をのせた。
レオは、僕が物心ついた時から家にいた犬だ。
なんでも、父が僕らを守るために召喚した守護魔獣だそうだ。
僕ら兄弟姉妹全員を守るために召喚したはずなのに、今は姉専属のお守りになってしまっている。
どうやら、レオにとって姉は特別らしい。
我看着纸的时候,雷欧靠近了过来,把头枕在我的腿上。
雷欧从我懂事的时候就一直在我家里。
好像他是父亲为了保护我们而召唤出来的守护魔兽。
原本是为了保护我们所有兄弟姐妹,但现在好像已经变成了姐姐专属的守护者一样。
看样子,对雷欧而言姐姐是特别的。
「……」
【……】
レオの頭を撫でると、お返しとばかりに手を舐められた。
レオは姉を贔屓している。
でも、僕らのことが嫌いというわけではない。
もしかすると彼も、僕が無職であることを心配しているのかもしれない。
我摸了摸雷欧的头,雷欧则舔了舔我的手。
雷欧很偏爱拉拉姐。
但并不说讨厌我们其他人。
说不定他在为没有工作的我担心吧。
「お前も心配してくれてんのか?」
「別に」
【你也在为我担心吗?】
【并没有】
唐突に声が聞こえた。
当然、レオが喋ったわけではない。
顔を上げると、寝室から姉が出てくる所だった。
相変わらずシャツとパンツのみのあられもない姿だ。
突然听到了说话声。
当然,并不是雷欧说的。
我抬起头,看到姐姐刚从寝室里出来。
还是和先前一样只穿了衬衫和内裤的有失体面的姿态。
「乙女の部屋に勝手にはいるの、よくないね?」
「ちゃんとノックはしたんだけどね」
「ならいい……レオ」
【随意呆在少女的房间里,可不好啊?】
【我有敲过门的】
【那就行……雷欧】
姉が手招きすると、レオは僕の所から、姉の足元へと移動し、丸くなった。
姉は丸くなったレオの真ん中に、どっかりと座り込んだ。
まるでソファのように。
姐姐一招手,雷欧就从我这跑到了姐姐的脚边,然后缩成了一团。
姐姐则坐到了缩成一团的雷欧的正当中。
雷欧就好像是沙发一样。
「何しにきたの?」
「暇つぶし」
「そ、ゆっくりしていくといい」
【你来做什么?】
【打发时间】
【哦,那你随意吧】
言われるがまま、僕は椅子に体を沈めこんだ。
寝ている所を叩き起こされてしまったせいか、まだ少し眠気が残っている。
椅子がいいせいか、眠りに落ちてしまいそうだ。
我按姐姐说的,将自己的身体完全托付给了椅子。
不知是否是因为睡着了的时候被妈妈敲醒,所以还有些困。
可能因为椅子太束缚了,感觉就快睡着了。
「ジーク。まだアレ、続けてるの?」
「あれ?」
「チェダーマン」
「んー……まあ」
【吉克。你还在,做那个吗?】
【那个?】
【奶酪超人】
【唔—……算是吧】
姉はいつも、何かを隠しておいても、すぐに見つけてしまう。
隠し事も、すぐに知られてしまう。
探しものが得意なのだ。
姐姐一直是这样,无论把什么东西藏了起来,总能立马发现。
事情也是,马上就知道了。
她很擅长找东西。
「いつまで続けるの?」
「さぁ、わからないよ」
「ふぅん……」
【你打算持续到什么时候?】
【不知道】
【唔……】
姉は僕が隠し事をしていても、特に誰かに言いつけたりはしない。
知っているぞ、と脅してくることも無い。
だから、姉と過ごすのは心地よい。
就算我有事瞒着大家,姐姐也不会特意告诉别人。
也没有威胁过我。
所以,和姐姐在一起我很放松。
「……」
【……】
なんて思っていると、姉は無言で、近くに無造作に転がっていた水晶球を手にした。
見た目はただの水晶球だが、占命魔術のために複雑な魔法陣を組み込んである。
父は何も言わず、彼女にそれを買い与えていたが、確か特注品で、相当な価格がしたはずだ。
そんなものが、部屋の片隅に転がっていることに、少し戦慄を覚える。
在我想着这些的时候,姐姐无言地随意地把滚在附近的水晶球捡了起来。
就外表来看只是普通的水晶球,但实际上里面布满着占命魔术的魔法阵。
父亲什么都没有说,就买下给姐姐了,好像也是特地定做的,价格应该很贵。
看到这么贵重的东西随意滚落在房间的角落里,我不经的有些颤栗。
彼女はあぐらをかいて水晶球を抱え、眠そうな目で水晶球を撫で回していた。
傍から見ると、ただの怪しげな儀式だ。
でも、あれは魔力を水晶球に注ぎ、操作することで何かを見ているのだ。
何を見ているのか、知らないが。
盘腿而坐抱着水晶球,眼神中充满困意的她摸着水晶球。
在别人看来这就像是什么奇怪的仪式。
但是那其实是在把魔力注入水晶球,通过这么操作来看到什么东西。
虽然我不知道她在看些什么。
「ジーク」
「何?」
「今日、パパ帰ってくるよ」
「え? でも、出張は3日後までじゃ……」
【吉克】
【怎么了?】
【今天爸爸会回来哦】
【诶?但是他不是出差了要3天后才……】
占命魔術というのは、占いだ。
今では胡散臭いとも言われるが、大昔に起きた人と魔族の戦争から続く、由緒正しき魔術だ。
かつては大きな国は必ず一人、占命魔術師がいたそうだが、今ではすっかりすたれてしまった。
占命魔术,即占卜。
现在常被人认为是什么骗术,但其实在很早以前,从人魔大战开始就一直延续到现在的,正统魔术的一种。
好像曾经的那些大国,必然会拥有一位占命魔术师,现在已经完全荒废了。
というのも、一部のカリスマ的な占命魔術師を除けば、ほとんどの術者はどうでもいい未来しか見えないからだ。
それでも、見えたものから未来について占うそうだが、正解率はせいぜい20%といった所だそうだ。
要するに、ほとんどの占命魔術師は水晶に向かって怪しげに魔力を送り込み、外れる確率が高いことを思わせぶりな口調で信じようとさせてくる、胡散臭い輩なのだ。
然而,除了一部分能力极强的占命魔术师之外,剩余的那些术士都只能看到一些无关紧要的未来。
但就算这样,那些人好像还是会通过他们看到的未来进行占卜,正确率最多也就20%左右吧。
也就是说,绝大多数的占命魔术师面向水晶做些奇怪的动作注入魔力,把那些错误率很高的事,用故弄玄虚的口吻告诉委托人,尽是些不能相信的家伙。
かつては一国に一人いて、国の行く末を占うことも多かったようだが、いつからかその数を減らし、今では学ぶ者もほとんどいない。
歴史の先生によると、確か魔術や魔道具の発展に伴い、信憑性の薄い占命魔術は頼られなくなった、ということだ。
魔法大学でも学ぶことは出来るが、姉が魔法大学で占命魔術の授業を取るまで、長らく生徒はゼロだったそうだ。
僕も正直、胡散臭いと思う。
曾经很多国家都会有一个人为国家的未来进行占卜,但不知从何时开始这样的人越来越少了,现在就连学习占命魔术的人也几乎没有了。
按历史老师的话,好像是随着魔术还有魔道具的发展,依靠可信性很低的占命魔术的人也越来越少了。
虽然在魔法大学是可以学到占命魔术,但事实上在姐姐学习占命魔术前,魔法大学的这门学科的学生一直是零。
说真的,我也觉得占命魔术的可信性很低。
でも、物好きな姉はそんなものを専攻している。
何の目的があるのかもしれないが、気まぐれな姉のすることだから、きっと意味など無いのだろう。
但是,好事的姐姐却在专攻这个魔术。
不知道她到底是为了什么,但毕竟是平日里随心所欲的姐姐做的事,肯定没什么深刻的含义吧。
「白ママがウキウキしながら下着を選んでるのが見えた。だから多分、パパが帰ってくる。多分、仕事が早く終わったんだよ」
【我看到了白妈妈很开心地在选内衣。所以大概爸爸要回来了。可能工作提前结束了吧】
姉も別にカリスマ占命魔術師というわけではないが、高価な魔道具を使っているだけあってか、何も見えないということは無いらしい。
とはいえ、占いでピンポイントに見たいものが見える確率は低い。
その場合、術者は見えたものに他の情報を組み合わせ、推理して正解を導き出す。
姉はこれがうまく、結構当たる。
姐姐并不是实力高超的占命魔术师,但可能是因为用了很贵的魔道具,所以好像并没有出现什么都看不到的情况。
话虽如此,精准地看到想看的东西的概率也很低。
遇到这种情况,施术者要结合其他情报,推理出正确的答案。
姐姐很擅长这事,所以经常能说准。
プライドが無いのもいいのだろう。
母がウキウキしながら下着を選んでたから、今日は父が帰ってくる。
なんて、普通の占命魔術師なら、口が裂けてもいわない。
彼らには、「未来は出来る限りもったいぶった言い回しで伝えるべし」なんて教えがあるのだ。
他の魔術師が占えば「深き山脈にて巨人が一人、雪を弄ぶ。巨人が雪を小人へと投げかければ、小人は慌てて故郷へと戻るだろう」なんて言い方をするはずだ。
そんな言い回しにも理由あってのことらしいが……姉のように勿体ぶらずに見えたものを言っていれば、胡散臭いなんてレッテルは張られなかったんじゃなかろうか。
就算没有自尊心也可以吧。
因为妈妈今天很开心地在选内衣,所以今天爸爸会回来。
这种话,要是换做其他的占命魔术师的话,绝对不会说的吧。
因为他们一直受到【“未来的事”要尽可能地经过修饰换一种表达方式后告诉别人】这要的教导。
如果是其他魔术师的话应该会这么说【我看到了一个巨人在深山里,摆弄着雪。如果巨人把雪砸向了矮人,矮人便会急忙回到故乡吧】
这种表达方式好像也是有理由的…但是像姐姐这样推理出什么就直说的话,占命魔术师门也不会被贴上不靠谱的标签了吧。
「じゃあ、今日は帰れないな」
「まだ、パパを避けてるの?」
「んー……まあ」
「そう、ジークは馬鹿だね」
【那今天没办法回去了吗】
【又要避开爸爸吗?】
【嗯—……算是吧】
【哦,吉克真是个笨蛋呢】
これは姉の口癖だ。
姉は会話の最後を「馬鹿だ」で締める。
昔は何か意味があるのかと思っていたが、割りと誰にでも言ってるので、やっぱり癖なのだろう。
这事姐姐的口头禅。
姐姐在对话的最后中会用【真是个笨蛋】来结尾。
以前我以为这话有什么其他的含义,但好像她对谁都会这么说,果然只是习惯吧。
「馬鹿で結構さ」
「そ」
【笨也没事啦】
【哦】
姉は高価な水晶球をゴロンと無造作に放り投げると、レオに埋まり、あくびをした。
まだ眠るつもりらしい。
人前だろうが気にせず振る舞うのは、いつものことだ。
僕は姉が寝るのを気にせず、昼下がりまで部屋でのんびり過ごすことにした。
姐姐把贵重的水晶球随意地丢在了地上,躺在雷欧的身上,打了个哈欠。
看来又要睡觉了。
她一直这样,无论是人前还是人后都不太在意别人的目光。
我也不在意睡着了的姐姐,一直在她的研究实力呆到了中午。
□
昼下がり。
僕は姉に別れを告げ、町をブラブラと歩いていた。
目的の店が開くまでは、まだ少し時間がある。
その間、こうして町を見て回るのだ。
中午。
我与姐姐道别后,在城里乱晃着。
距离我要去的店开业的时间,还有一点。
在这段时间里,我会像这样在城里转转。
ふと、目の前で頓挫している馬車を発見した。
馬車の車輪をつなぐ車軸が折れ、荷物が地面へとばらまかれてしまっている。
馬車の持ち主と思わしき人物は、頭を抱えつつ地面へとばらまかれた荷物を集めていた。
とは言え、二頭立ての馬車満杯に積んだ荷物。
車軸の折れた馬車に載せ直すわけにもいかず、かといって修理を頼もうにも、盗まれる可能性を考慮するとこの場を離れられない。
という感じに困っているようだ。
忽然,我发现了一辆在我眼前停下的马车。
马车车轮的车轴断了,车上的物品散落在了地上。
像是车主的人正伤脑筋地收集着散落一地的物品。
话虽如此,双驾马车上装着满满的物品。
没办法直接修理马车,不过就算去请人来修,但一考虑到东西可能会被偷,也不能离开现场。
看样子他好像很困扰。
「手伝いますよ」
「おお、ジーク君……助かるよ。困ってたんだ。目的地はすぐそこなんだが……」
「なら、車軸を直しましょう」
【我来帮你吧】
【噢噢,吉克君啊……帮大忙了。我正伤脑筋呢。目的地就快到了,但却……】
【那我来帮你把车轴修好吧】
僕は馬車を持ち上げ、背中に乗せて高さを固定。下に潜り込んで、車軸を土魔術で固めた。
我抬起了马车,然后把马车抗在了背上固定住高度,钻进了下面,把车轴用土魔术固定。
「応急手当てにすぎませんけど、これで一時間ぐらいは持つはずです」
「さすがだなぁ……」
【不过这只是应急措施,但应该可以再撑一个小时左右】
【不愧是吉克君啊……】
商人は感心しながら修理した車軸を見ていた。
馬車の修理は、王立学校で習った。
なぜ王立学校で、と思うだろうけど、騎士や貴族にとって馬車は日常的に乗るものだ。
だからそれを修理する方法は、学校で教えている、というわけだ。
貴族は、自分で馬車を直したりはしないだろうけどね。
商人一副感慨的样子看着被修整过的车轴。
修理马车是我在王立学校学的。
你们肯定在想为什么是王立学校,因为对那里的骑士啊贵族来说,马车是日常出行必备的工具。
所以学校也教学生如何修理马车。
当然贵族们是不会自己修理马车的。
その後、落ちた荷物をひょいひょいと馬車に積み直し、商人を御者台に乗っけてあげた。
之后,我把掉落在地上的物品轻轻地搬回马车上,帮商人上了马车。
「いやぁ、助かったよ。金を払おう。あまり手持ちは無いんだが……」
「いえ、お代は結構です。報酬が欲しくてやったわけではないので」
「そうかい? ……さすがグレイラット家の子供だ。立派なもんだなぁ」
【啊啊,真的帮大忙了。我会付你钱的。但是我现在手上没多少……】
【不用了,报酬就不用了。我并不是因为想要报酬才帮忙的】
【是吗?……不愧是格雷莱特家的孩子啊。真是了不起】
僕はその言葉に満足感を覚え、その場を離れた。
听到他这么说我感到很满足,便离开了。
「よー、ジーク君、ご苦労さん!」
「おっ、おっさん、ありがと!」
【哟,吉克君,辛苦了!】
【噢,大叔,谢谢!】
唐突に果物屋の親父から、赤い果実が投げ渡された。
どうやら、親父は一連の出来事を見ていたらしい。
僕は果実をパシリと受け取り、口に含んだ。
甘酸っぱく、口の中に爽やか味が広がった。
突然水果店的大叔向我丢来一个红色的果实。
好像大叔看到了我在修马车。
我接过果实,含进了嘴里。
酸酸的,清爽的味道在嘴里扩散开来。
「ウチでも困ったらよろしくな」
「その時に暇だったらね」
「はっはっは」
【如果我家有什么麻烦了也拜托你啦】
【如果我有空的话】
【哈哈哈】
この果実は、対価ではない。
僕とも、さっきの商人とも関係ないからだ。
もし、果物屋の親父が困ったら、今回の果実とは無関係に助けるし、その時は報酬も貰わない。
つまり、この果実は無料の果実というわけだ。
这个果实,并不是回报。
和我也好,和刚刚的商人也好都没有关系。
如果,水果店的大叔遇到麻烦了,没有今天的果实我也会帮他,那个时候我也不会收取报酬。
也就是说,这个果实,是免费的东西。
「おっ、ジーク君! 先日はお陰でいい肉が仕入れられたぞ、ありがとよ!」
「どういたしまして」
「よう、ジーク君。こないだはありがとな! おかげで元気な子が生まれたよ!」
「いえいえ、偶然通りがかってよかった」
「ジーク! これからかくれんぼやるけど、お前もはいるか!?」
「今日はやめとくよ。暗くなる前に帰るんだぞ!」
【噢,吉克君!谢谢你啊,多亏你前天入手了很好的肉!】
【不用谢】
【哟,吉克君,之前谢了啊!多亏你,老婆生下了个健康的孩子哦!】
【哪里哪里,我只是偶然路过那里而已】
【吉克!过会我们要玩捉迷藏,你也来吗!?】
【今天就算了。记得在天黑前回去哦!】
町を歩けば、いろんな人が話しかけてくる。
仕入れで困っていた肉屋の親父に、奥さんが道で突然産気付いてしまった衛兵、近所のワルガキ。
皆、気のいい人ばかりだ。
走在路上,会有很多人向我搭话。
进货遇到麻烦的肉店的大叔,妻子在路上突然要临盆的卫兵,附近的小孩。
大家都很和善。
なんて考えつつブラブラして時間を潰し、日が落ちると同時に、僕は目的の場所へと足を運んだ。
就这样我到处晃着,打发着时间,太阳下山的同时,我开始前去目标地点。
□
『酔いどれゴブリン』。
それはこの町で、一番目立たない所にある酒場だ。
特にうまい酒があるわけでもなく、料理もそこそこ。
とはいえ、暗く静かな雰囲気のおかげか、客は入っている。
暗く静かな雰囲気を好む、頬や脛に傷を持つ者達ばかりだが。
【醉鬼哥布林】
这是这座城市里最不显眼的地方的一个酒馆。
这里并没有什么特别好喝的酒,料理也一般。
但因为昏暗安静的气氛,还是有客人来光顾。
虽然来这光顾的都是些喜欢安静昏暗环境,脸啊腿啊有着伤痕的人。
酒場にはいると、僕は早速見知った顔を見つけた。
頭頂部のハゲた小男で、名前はジョルジュ。
僕は彼の前に座った。
一进酒馆,我立马就发现了熟人的脸。
头顶秃了的矮个男子,名字叫乔尔乔。
我坐到了他的面前。
「よう、ジョルジュ、景気はどうだい?」
「ジークか……今日は好調だ。たっぷり金が入ったぜ」
【哟,乔尔乔,最近生意还好吗?】
【吉克吗……今天很好哦。赚了一大笔呢】
彼は市場の方で日雇いの仕事をしつつ、日銭を稼いでいる。
小悪党といっても差し支えないぐらい、小さな悪事を積み重ねているが、悪人と断じるほど悪いことはしていない。
彼を悪と断じていたら、町中の悪ガキを全滅させなきゃいけなくなるだろう。
他在市场那块做着日工,工资都是日结。
说他是个小恶党吧也没错,虽然做了不少小坏事,但还没有到可以断定是恶人的程度。
如果把他都算作恶人,那就不得不把城里所有的坏小孩都消灭了吧。
彼はいつも景気が良く、いつもたっぷり日銭を稼いでは、機嫌良さそうに酒をあおっている。
でも、ふしぎと裕福になっていく気配は無い。
宵越しの銭は持たないタイプなのだろう。
他一直都说生意很好,每天都赚了不少钱,心情愉快的来这喝酒。
但是,不可思议的是完全没有变得富有的感觉。
可能他是那种存不住钱的类型吧。
「ジョルジュ、なんか面白そうな話はねえか?」
「面白そう? いつもの感じか?」
「ああ、いつもの感じだ」
【乔尔乔,有没有什么有趣的传闻啊?】
【有趣的?和平时一样的?】
【是啊,和平时一样】
ジョルジュは情報屋でもある。
市場で得た情報を、この酒場で売りつけている。
そして、時にここで、別の情報を仕入れることもある。
乔尔乔还是个情报贩子。
他会把在市场里获得的情报,拿到这里卖贩卖。
然后,偶尔会在这里想办法获得些其他情报。
「そうだな……ちと危ねえんだが」
「ちょっとぐらいなら問題ねえぜ」
「最近、この辺りに妙なクスリが出回ってるらしいんだ」
「……クスリ?」
「吸うと、気分がフワッとして天国に登った気分になるやつだよ」
【这个嘛……稍微有点危险哦】
【稍微有点危险的话不要紧】
【最近这附近啊,好像有人在卖一种很奇怪的药】
【……药?】
【吸了那药之后,心情会变得很好,好像升天一样的感觉的那种】
麻薬。
人を廃人へと追い詰める、悪魔の薬だ。
父はこれをこの町に流通させないように、細心の注意を払っている。
麻药。
会把人变成废人的恶魔的药。
父亲一直很细心地注意不让这种药在魔法都市流通。
「どこだ?」
「売人がどこにいるか、なんてのは知らねえぜ。でも、最近レイジー商店の番頭が、夜な夜な人気のない倉庫に足を運んでいるって話を聞く。ついでに、最近やけに羽振りを良くしてやがるって話もな」
【在哪?】
【这个我倒不知道。但是最近据说雷吉商店的老大,晚上会去没人的仓库。顺便还有传闻说最近他名声突然就大起来了】
クロというわけではない。
しかし、レイジー商店の番頭が何かしら関わっている可能性は高いだろう。
根据这情报,并不能判定他就是“黑”的。
但是,雷吉商店的老大与这事有什么关联的可能性很高。
「倉庫の場所は?」
「詳しい場所は知らねえ。だがレイジー商店も持ってる倉庫は、そう多くはねえ。そんで人気のない倉庫と言えば――」
【那仓库在哪?】
【具体我不知道。但是雷吉商店名下的仓库也并不是很多,同时还要满足没什么人烟的条件的话——】
ジョルジュから、倉庫の予想場所を聞き出す。
僕も、昼間に何度かその近くを通ったことがあった。
あのあたりの倉庫街は、昼でも人の気配が少ない。
夜になれば無人といっても過言ではないだろう。
我从乔尔乔那打听到了仓库可能在的位置。
我也有过好几次,白天路过那里。
那附近的仓库街白天人也不是很多。
到了晚上说那根本没人也不为过吧。
「あんがとよ」
「何、いいってことよ。そういや俺も聞きてえことがあったんだが、いいか?」
「なんだ?」
「あんたの姉貴に、ララってのがいるだろ?」
「ああ、いるな」
【谢啦】
【客气了。话说回来,我也有想向你打听的事,可以吗?】
【什么?】
【关于你姐姐的,有个叫拉拉的姐姐没错吧?】
【没错】
ジョルジュは気前のいい奴で、僕から金を取ろうとはしない。
その代わり、僕にあれこれと聞いてくる。
僕はそれに答える。
対価ではない。
乔尔乔是个挺大方的人,不会问我收钱。
但作为交换,会从我这里打听点事情。
我也会回答他。
并不是代价。
ジョルジュは僕が何も教えなくても情報を教えてくれるし、僕もまた然りだ。
そしてお互いに、言いたくないことは言わない。
つまりこれは、世間話というわけだ。
如果我什么也不告诉乔尔乔,他也会把情报告诉我,反过来也一样。
还有我们都不会把不愿说的情报说出来。
也就是说,这只是熟人之间的随意交谈。
「研究室から出てこないって話だけど、中でなんかヤベエことやってんのか?」
「いや、ただの召喚魔術と、占命魔術の研究だよ」
「占命魔術? 占い師にでもなんのか?」
「さあ。ララ姉は気まぐれだから、意味なんか無いかもしれない」
「へ~」
【据说一直没从研究实里出来过,里面发生了什么不好的事吗?】
【没有,只是她一直在研究召唤魔术和占命魔术而已】
【占命魔术?她想当占卜师吗?】
【不知道,拉拉姐是个很随性的人,所以可能没什么特别的意思吧】
【喔~】
ジョルジュは僕に金を要求しない。
もっとも、ジョルジュは情報屋らしく、僕から得た情報を、何らかの方法で金に変えているらしい。
でも、仕方あるまい。
彼は気高き無職ではないのだから。
咎めるのもお門違いってもんだ。
乔尔乔不会问我收取金钱。
不过,好像他自己还是会像个情报贩子一样,把从我这里获得的情报,通过什么方法变成钱。
但是,这也没办法。
他并不是崇高的无职。
因为这责怪他也不合道理。
□
そうして時刻は深夜。
店が閉まり、客が三々五々、自分の寝床へと帰っていく。
人々が寝静まる時間。
一日の終わり。
然后,时间到了深夜。
店关门了,客人们也三三两两的回到了自己的睡铺。
睡觉的时间到了。
一天的结束。
でも、僕の時間は終わらない。
但是,我的时间还没有结束。
R:做五休二,所以明后两天不更新。
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前无职的孩子是无职 嗯。。 深得遗传