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『轻小说・三秋缒』我曾打着电话的那个地方(一)

时间: 2015-12-2 分类: 我曾打着电话的那个地方 作者: kk

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kk:HALLO大家嚎(的新人报道) + 提醒大家这是下卷 + 翻错球指♂出 球鞭♂挞+ 日更一千五 + 羞羞的退场 啊 好忐忑。

 

lu:站上第一篇(跟2ch无关的)轻小说,简单介绍一下:

这是三秋缒老师的新书《僕(君)が電話をかけていた場所》的下卷,貌似是恋爱类型的。此人曾经在2ch上写过小说:回到十年前,从十岁重新开始人生的感想,文风我蛮喜欢的。上卷是《妳曾打着电话的那个地方(君が電話をかけていた場所)》。至于为什么是从下卷开始翻,那是因为我们呆萌的刻君买错买成下卷了Σ(゚∀゚ノ)ノ

据说直接看下卷也不影响剧情,不过毕竟没看过所以不敢打包票,请各位看官自行斟酌哦。另外上卷贴吧有人在翻,但还没翻完:http://tieba.baidu.com/p/4167134072。刻君在贴吧翻译的地址:http://tieba.baidu.com/p/4189316796。另外本小说《僕が電話をかけていた場所》目前尚未有正式译名。仓促间想不到什么好的译名,如果大家对于译名有好的建议欢迎提出哦~

让我们再次鼓励下新人翻译菌~

 

第7章 夏の大三角、あるいは大四角

第七章 夏季大三角,或者是大四角

 

前日から降り続いていた雨は、午後になってようやく止んだ。あちこちに水溜りのできた道路を慎重に歩いていると、自転車に乗った子供たちが次々と後ろからやってきて僕を追い越していった。一人が何事かを叫びながら指差す先には、くっきりとした大きな虹があった。僕は立ち止まってその虹を数秒間眺めた。再び歩き出そうとして視線を下ろすと、既に子供たちの姿はなかった。

ひょっとすると、あの子供たちは虹の端を探しに行ったのかもしれないな、と僕は思った。

从昨天开始连绵不绝的雨,到了下午终于停了。我小心地走在水洼遍地的道路上,被骑着自行车的小孩一个一个超过。一个小孩仿佛叫嚷着什么,手指着的方向有清晰而巨大的彩虹。我停下来凝视了几秒那道彩虹。想重新迈出步伐时收回了视线,已经看不到小孩们的身影了。

也许,那群小孩是去探寻彩虹的尽头去了吧。我这样想到。

 

虹の端には黄金が一杯につまった壺がある、という迷信がある。僕はこの話があまり好きではない。美しいものの下には美しいものが埋まっているという考え方が気に入らない。僕もまた、桜の樹の下には屍体が埋まっていてほしいと考える人間の一人なのだ。

ただ美しいだけのものは、僕を不安にさせる。その美しさの帳尻を合わせるために、世界のどこかで割を食っている人がいるんじゃないかと不安になる。虹の根元には墓地があるといいな、と僕は思う。あの鮮やかな七色は、数十数百の骨壷によってもたらされているということにしてほしい。そうすれば、僕も少しは虹の美しさを無邪気に受け入れられるかもしれないから。

有“彩虹的尽头有满满地盛着黄金的罐子”这样的迷信。我不怎么喜欢这个说法。“在美丽的东西的脚下埋着的是美好的东西”这种想法并不对我的胃口。我是想着“樱花树下埋葬着尸体就好了”那些人中的一个。

仅仅是漂亮的东西,会让我感到不安。要平衡它的美丽,世界上的某处是不是就会有人因此倒霉。我对此感到不安。我想,要是彩虹的脚下是墓地就好了。那鲜艳的七彩,若是数十数百的骨灰盒带来的就好了。因为如果是那样,我也就能单纯地接受一些彩虹的美丽了。

 

町立の図書館を訪れた僕は、そこで幽霊を探している女の子と再会した。僕が百円玉を手にして、自販機の前に立ちジュースを選んでいると、もう一台の自販機の前に日傘をさした女の子がいるのが目に入った。彼女は僕と同じように百円玉を手にしたまま、人生の重大な選択を迫られているかのような顔で自販機を眺めていた。僕の視線に気づいた彼女は、傘を上げて僕の顔を見た。

我去镇立图书馆时,在那里与寻找幽灵的女孩再会了。我手里拿着百元硬币,站在自动贩卖机前,思考着选哪个饮料的时候,另一台自动贩卖机前撑着阳伞的女孩映入我的眼帘。她和我一样手里握着百元的硬币,仿佛是被人生重大选择逼迫着一般凝视着自动贩卖机。注意到我的视线,她举起伞看向我的脸。

 

「あら、おにいさん」女の子は目を見開き、それから小さく頭を下げた。「こんにちは。こんなところで会うなんて意外ね」

「君も、一日中幽霊を探しているっていうわけではないんだな」

「ところが、そうでもないのよ」彼女は小脇に抱えていた鞄を掲げていった。「今日借りた二冊は、どちらも幽霊に関する本なの」

「素晴らしい」と僕は賞賛した。

“呀,哥哥。”女孩瞪大了眼睛,又稍稍低下了头。“您好。会在这里遇到,有些意外呢。”

“你也是,果然也不是整天都在寻找幽灵的啊。”

“不过,不是这样的哦。”她把夹在腋下的包拿起来给我看,“今天借的两本书,都是跟幽灵有关的嘛。”

“不错嘛。”我称赞道。

 

「馬鹿みたいだと思ってるんでしょう?」彼女は口を曲げた。「いいのよ。私、事実馬鹿だから。学校の成績も良くないし」

「皮肉を言ったつもりはないよ。本当に素晴らしいと思ったんだ。卑屈にならないでくれ」

女の子はしばらく無言で僕を睨んでいたが、ふっと表情を緩め、図書館に面した歩道のベンチを指さした。

「よかったら、少し、お話ししていかない?」

“原来你觉得我是笨蛋吗?”她撇下嘴角。“那也行。反正我本来就是笨蛋。在学校成绩也不怎么样。”

“没打算讽刺你啦。是真的觉得很不错的。不要那么自卑啊。”

女孩不说话,怒视着我。过了一会儿,突然缓和了表情,指向了面朝图书馆的步道的长椅。

“可以的话,不稍微聊一会吗?”

 

僕たちは自販機でジュースを買い、ベンチに並んで腰かけてそれをゆっくりと飲んだ。図書館の裏の林からは耳が痛くなるくらいの蝉の鳴き声が聞こえた。

我们在自动贩卖机买好饮料,相挨着坐在长椅上,慢悠悠地喝着。听得到图书馆背面的林子里传来的、几乎让耳朵发痛的蝉鸣声。

 

「ところで、君は幽霊をどんな存在だと考えているんだ?」と僕は訊いた。「人それぞれ、幽霊観みたいなものがあるじゃないか。近くで見守ってくれる存在だという人もいれば、恨みを持って人を呪い殺す存在だという人もいる。生きている人間には干渉しない、ただそこにいるだけの存在だという人もいる。君の幽霊観が知りたいな」

「いったでしょう、もともと幽霊なんて信じていないわ。UFOでもUMAでも、なんだっていいのよ」彼女は澄ました顔で言った。「ただ……美渚町って、幽霊に関する話が豊富じゃない? だからさしあたり、幽霊を探すことにしてるのよ。」

「じゃあ、質問の仕方を変えよう。君は、幽霊がどんな存在だったらいいと思ってる?」

女の子はジュースを一口飲んで空を仰いだ。濡れた唇が、陽光で白くきらめいた。

“对了,你觉得幽灵是怎样的一种存在呢?”我这样问道。“人们不是各自拥有着对幽灵的认识吗。有人认为他们守护在我们身边,也有人认为他们怀揣恨意咒杀人们。也有认为‘他们并不干涉活着的人们,只是存在在那里’的人。我想知道你对幽灵的看法。”

“我说过的吧,我本来就不相信幽灵什么的会存在。UFO啊UMA什么的,随便怎样都好啦。”她一本正经地说着。“只是……美渚町那儿,幽灵的传闻不是很多么。 所以现在才在寻找幽灵的哦。”

“那么,换个问法吧。你认为,幽灵若是怎样的存在会比较好呢?”

女孩喝了一口饮料,望向天空。润湿了的嘴唇在阳光下熠熠闪光。

 

「そうね……私としては、幽霊には、ひどく苦しんでいて、生者を憎悪していて、自分の境遇を嘆き悲しんでいる、そんな存在であってほしいわ」

「なぜ?」

「もしそうだったら、生きていることが、ちょっとはましに思えるでしょう?」彼女は空を見上げたままいった。「幽霊が皆、安らかな顔で生者を見守るような存在だったら、私は彼らが羨ましくて幽霊の仲間入りをしたくなっちゃうでしょうね」

「なるほど。一理あるな」

僕の同意が嬉しかったのか、女の子はベンチの下で足を揺らした。

“这样啊……要我来说,我希望幽灵他们感受着莫大的痛苦,憎恶着生者,悲叹着自己的境遇。这样存在着就好了。”

“为什么?”

“若是那样,就能觉得生而在世稍微好一些了吧?”她仍抬头望着天空。“要是幽灵都带着安详的面容、在保佑着生者的话,我会羡慕他们,会一不小心想加入他们、成为幽灵的一员的吧。”

“是这样啊。确实有些道理。”

也许是我的赞同让她有些开心,长椅下,女孩的腿晃动了起来。

 

「私が年を取ったら、今とは正反対のことをいうようになるのかもしれないけれど」

「間近に迫りつつあるしを肯定するために?」

「そういうこと」彼女は日傘の下で微笑んだ。「おにいさんは、私みたいな変人の話をきちんと理解しようとしてくれるのね」

「僕は自然に話してるつもりだ。話が合うということは、君は変人じゃないということだろう。もしくは僕も変人ということだ」

「後者よ。間違いないわ」

彼女はくすくす笑った。

“不过我要是上了年纪,大概会说和现在完全相反的话吧。”

“是为了肯定渐渐迫近眼前的‘死’吗?”

“正是如此。”阳伞下的她微笑着。“哥哥,你能好好理解我这样的怪人的话呢。”

“我只是自然地说出来而已。我们气味相投,说明你不是怪人呀。或者说,我是怪人。”

“后者啦。绝对。”

她偷偷地笑着。

 

「そういえば」と僕は言った。「ひとついい忘れてたけど、僕は“おにいさん”なんて年じゃない。君と同い年だ」

女の子は僕の顔を覗き込んだ。

「二つか三つは年上だと思ってたわ」彼女は目を泳がせながらぼそぼそといった。

「でも、年上ということにしておいてくれないかしら?」

「別にいいけど、なぜ?」

“话说,”我说。“有件事忘记说了,我不是‘哥哥’这样的年纪。是和你同岁哦。”

女孩窥探着我的脸庞。

“还以为比我大两三岁呢。”她的视线摇摆不定,小声嘀咕道。

“……可是,就当作你比我年长可以吗?”

“那倒没关系,但是为什么?”

 

女の子は僕から目を逸らした。「同い年の男の子と話していると思うと、緊張して朝食べたものを戻しそうになるのよ」

僕は思わず吹き出した。「わかったよ。年上ということにしておこう」

「ええ、そうしてくれると助かるわ」彼女は瞼を閉じてため息をついた。それから気を取り直したように明るくいった。「ねえ、私、おにいさんの話も聞いてみたい」

「僕の話?」

「私ばかり話すには不公平だわ。おにいさんも、何か話して」

女孩的视线从我身上挪开。“一想到是在和同龄的男生说话,就会紧张得早饭都要倒流的啊。”

我没忍住笑了出来。“了解啦。那就当我比你大吧。”

“嗯嗯,那真是太好了。”她闭上了眼吁了口气。然后好像振作起了精神,高兴地说:“那个,我也想听听关于你的事。”

“关于我的事?”

“只有我不停地在说,不公平呀。你也讲些什么吧。”

 

僕は考え込んだ。自分のことを話すのは苦手だ。自分に関心を持っている人間などいないという前提のもとに生きているから、常人と比べて「自分の話」のストックが極端に少ないのだ。

結局、他に話題らしい話題もなかったので、僕は目下の関心事について開け広げに話すことにした。

我陷入了沉思。我不擅长讲自己的事情。我一直在“不会有人对我感到好奇”的前提下活着,所以和一般人相比,“自己的故事”的库存非同寻常地少。

结果,也没找到什么其他什么像样的话题,就直言了自己现下在意的事情。

 

「最近、よく、夜中に星を見にいくんだ」

「あら、素敵ね。おにいさんにそんな趣味があったなんて」

「いや、僕の趣味じゃない。僕はあくまで付き添いなんだ」

「ふうん。楽しそうね」彼女は拗ねたような顔でいった。「どうせ女の子と一緒なんでしょう?」

「女の子もいるし、男もいる」

「やっぱり友達が多いのね」彼女は肩を落とした。「裏切られた気分だわ」

“最近,半夜经常去看星星啊。”

“呀,真厉害。你还有这样的爱好啊。”

“不,这不是我的爱好。说到底只是陪别人一起。”

“哼。好像很开心的样子嘛。”她闹别扭般地说,“反正就是和女孩子一起吧?”

“有女孩子,也有男孩子。”

“果然有很多朋友啊。”她垮下肩膀。“有种被背叛了的感觉。”

 

「いっておくけど、僕の友達は君を含めても全部で五人くらいだよ」と僕は苦笑いしていった。「寄せ集めの集団でね。メンバー全員と知り合いなのは僕だけで、仲を取り持つのにいつも苦労してる」

彼女は僕の顔をじっと見つめた。

「そういうの、おにいさんには向いてなさそう。疲れるでしょう?」

「ああ。死ぬほど疲れる」

彼女は途端に顔を緩めた。「慣れないことに手を出すからよ。いい気味だわ」

「まったくだ」と僕は同意した。

“话说在前面,就算加上你,我的朋友总共大概也只有五个而已噢。”我苦笑着说道。“那是个东拼西凑出来的小队。只有我认识所有成员,所以一直在之间斡旋,太费劲了。”

她目不转睛地盯着我的脸。

“那样的事好像不适合你,很累吧?”

“是啊。累得要死。”

她的表情骤然放松。“那么热心地搀和不会做的事情才会这样啦。活该哦。”

“真的是啊。”我表示赞同。

 

帰宅後はラジオを音楽番組に合わせ、図書館で借りた本を読み続けた。窓を開け放して扇風機を回してもシャツに汗染みができるくらいの暑さだった。夕食を終えて風呂に入ると、すぐに布団に入った。午前一時、枕元の時計のアラームが鳴った。僕はむくりと起き上がり、手早く支度をして家を出た。

夜中だというのに、道中のあちこちで蝉が鳴いていた。街路灯の明かりといつまで経っても抜け切らない暑さのせいで今を昼間と勘違いしているのかもしれない。あるいは、日中に鳴くことができなかった蝉たちが夜になって遅れを取り戻そうとがんばっているのかもしれない。最近は暑さのピークの時間帯になると蝉が一斉に鳴き止むという現象がよく見られる。当たり前といえば当たり前だが、蝉もあまり極端に暑いのは苦手なのだろう。

回家以后,把广播调到音乐频道,继续看从图书馆借来的书。敞开了窗户,也开了电扇,热出的汗还是都快要打湿衬衫。晚饭结束后泡完澡,就立马爬进被子。凌晨一点,枕边的闹钟响了。我蹭地爬起来,麻利地做好准备,出了家门。

虽说是半夜,路上却尽是蝉鸣。大概是路灯的光线和永不消止的热度,给人造成现在还是白昼的错觉。或者说,也许是没能在白天鸣叫的蝉,在夜里努力地将缺失的那份补足。最近经常能看到,在热度达到峰值时蝉就一齐停止鸣叫的现象。说起来也是理所当然的,就算是蝉,在极端的炎热下也是受不了的吧。

 

今年の夏の暑さは、はっきりいって異常だ。ニュースは連日のように最高気温の更新を報じ、大人たちもこんなに暑い夏は生まれて初めてだと口々にいっている。梅雨時期の降雨量が平年の半分以下だったせいもあって、全国各地で渇水が起きており、いくつかの地域では夜間断水を行っているという。近頃救急車のサイレンを聞くことが多いのは、熱中症で倒れる人が増えているせいかもしれない。

直说的话,今年的夏天热得异常。接连几天,每天都播报着最高气温更新的新闻,大人们也一致说着“这样热的夏天,出生以来还是第一次遇到”。也有梅雨季节降水量连常年的一半都不到的原因,全国各地都出现缺水情况,听说有些地方实施了夜间停水制度。最近经常能听到救护车的警笛声,大概是因为中暑倒下的人越来越多了吧。

 

時折どこからともなくまとわりついてくる蜘蛛の巣を手で払いながら歩き続けているうちに、初鹿野唯の家に着いた。予想通り、既に荻上千草が門の脇で待機していて、僕に気づくと小さく手を振ってきた。外出時はいつも律儀に制服を着ていた千草だが、この時間に制服姿ではかえって怪しいと思ったのだろう、今日は細いストライプの入ったシャツワンピースを着ていた。

走在路上,偶尔用手掸去不知道在哪儿缠上的蜘蛛巢,不经意间就到了初鹿野唯的家。意料之中地,荻上千草已经在门旁等着。她注意到我,微微地挥了挥手。千草出门的时候总是是规矩地穿着制服,不过大概是觉得在这种时候穿制服反而会显得奇怪吧,今天她穿了细条纹的衬衫裙。

 

「今日は私服なんだな」

僕が指摘すると、千草はワンピースの裾を摘んで困ったような顔で訊いた。「変じゃありませんか?」

「変じゃない。よく似合ってる」

「そうですか。似合ってますか」

千草は体を左右に小さく揺らして笑った。

“今天穿的是便装啊。”

我这样指出,千草捏起连衣裙下摆,看起来有些困惑地问道,“这样穿奇怪吗?”

“不奇怪的。跟你很相称。”

“这样啊。这样合适啊。”

千草微微地左右晃动着身子,笑了起来。

 

連日の暑さについて千草と話していると、勝手口が音もなく開き、初鹿野が姿を現した。初鹿野は僕の顔を見て、それから千草の顔に視線を移した。千草が「こんばんは、初鹿野さん」と微笑みかけると、初鹿野は無言で小さく頭を下げた。

三人が揃ったところで、僕たちは鱒川旅館に向かった。屋上に通じる扉を開くと、一足先に到着していた檜原裕也が天体望遠鏡の組み立てを行っていた。彼は僕たちがやってきたのを見ると「おう」とだけ挨拶をし、それから初鹿野に手招きをした。「初鹿野、早く手伝え」

和千草说着连日的酷暑时,后门无声地打开,初鹿野出来了。初鹿野看了看我的脸,视线投向千草。千草微笑地向她打招呼:“晚上好,初鹿野。”初鹿野不说话,稍稍低下了头。

三人集齐了,我们就向着鳟川旅馆前进。打开通往天台的门,看到先一步抵达的桧原裕也正组装着天文望远镜。看到走来的我们,他只是“哟!”地打了招呼,然后向初鹿野招招手。“初鹿野,快来帮忙。”

 

初鹿野が望遠鏡の脇に立つと、檜原は指示を始めた。「さあ、ファインダーの調整の仕方は前回教えた通りだ。今日こそ一人でできるよな?」

初鹿野は無言でこくりと頷いた。

黙々と天体望遠鏡の調整をする初鹿野とそれを見守る檜原を、僕と千草はやや離れたところから眺めていた。千草はちらちらと僕の横顔を覗き見て、複雑そうな笑みを浮かべた。

「どうしてこんなことになったんでしょうね?」

初鹿野站定在望远镜旁边,桧原开始作出指示。“寻星镜的调整方法就像上次教你的那样,今天一个人来可以的吧?”

初鹿野没有说话,点了点头。

我和千草站在稍远些的地方,注视着默默调整着天文望远镜的初鹿野和监督着她的桧原。千草偷偷地瞥向我的侧脸,脸上浮现出带有深意的微笑。

“为什么会变成现在这样呢?”

 

そう、どうしてこんなことになってしまったのか?

僕は記憶を辿り、発端となったあの日に思いを巡らせた。

是啊,怎么会变成现在这样的呢?

我追溯着记忆,深思起作为开端的那一天。

 

    *

 

時間は初鹿野と電話が繋がった日にまで遡る。初鹿野のいた無人駅の公衆電話と僕の自宅の固定電話のベルが同時に鳴った、あの日だ。

やっとの事で初鹿野とまともに会話をする機会を得た僕は、この数年間ずっと胸に抱いていた想いを彼女に打ち明けた。それに対する彼女の返答を聞く前に電話は切れてしまったけれど、ひとまず、二人の間にあった擦れ違いはある程度解消されたようだった。初鹿野が僕を嫌っているわけでわないことがわかったし、僕が初鹿野を憐れんでいるわけではないことをわかってもらえた。それだけでも、大きな前進だった。

时间追溯到我和初鹿野的电话接通的那天。初鹿野所在的无人车站的公共电话,和我家里的电话铃声同时响起,是在那一天。

费尽心思终于有了好好和初鹿野对话的机会,我把这几年来一直怀揣着的感情向她坦白了。虽然在听到她的回答之前电话就断了,至少我们之间的不合似乎在某种程度上暂且消解了。我知道了初鹿野并没有厌恶我,她也明白了我并不是在可怜她。即使只有这些,也算是前进了很大的一步了。

 

その夜、午前二時ちょうどに、僕は初鹿野の家を訪れた。

五分とせずに勝手口から出てきた初鹿野は、僕の姿を認めて足を止めた。

僕は軽く右手を上げて挨拶をすると、彼女はものいいたげな表情で僕をじっと睨んだ。しかしその表情に、以前のような敵意や嫌悪感はなかった。見方によってはただの照れ隠しにさえ見えた。

「さあ、今日も一緒に星を見にいこう」と僕はいった。「あの流れ星の晩みたいに」

初鹿野は呆れ顔で小さく肩を竦め、「いいよ」とも「嫌だ」ともいわず無言で歩き出した。僕はここに来て初めて、彼女に後ろを尾けるのではなく、彼女の隣を歩いて廃墟に行くという経験をした。

那个夜晚,凌晨两点整,我造访了初鹿野家。

没过五分钟,初鹿野就从后门走了出来,认出了我的身影,停下了脚步。

我随意地举起右手打了招呼,她欲言又止的样子,静静地注视着我。但是从表情来看,没有了以前的敌意与厌恶感。从某个角度来看,甚至有是在遮羞的感觉。

“喂,今天也一起去看星星吧。”我这样说道。“像那次的流星之夜一样。”

初鹿野神色惊愕,微微缩着肩膀。“好啊。”也没有,“不要。”也没有,她什么都没说,迈出了脚步。我第一次来这里,并没有跟在她的身后,而是走在她身旁,获得了一次走向废墟的经历。

 

屋上の椅子に腰掛けて空を仰いでいる初鹿野に、僕は何気なく訊いた。

「こんなに星を見るのが好きなのに、天体望遠鏡は使わないのか?」

「使いたいよ」と彼女は素直に答えた。「でも、あれは高価なものだから」

「なるほど」僕は頷いた。それから、ふと思いついていった。「そういえば、僕の知人に、そこそこ根が張る天体望遠鏡を持っているやつがいたな」

案の定、初鹿野はこれに食いついた。「……ほんと?」

「ああ。よかったら借りてこようか?」

初鹿野坐在屋顶的椅子上,仰望着天空,我无意地问道:

“明明这么喜欢看星星,却不用天文望远镜看吗?”

“我想用的啊。”她诚实地回答。“可是,那个太贵了,所以……”

“这样啊。”我点了点头。忽然想到了什么。“这么说起来,我认识一个有个蛮贵的天文望远镜的家伙啊。”

不出所料,初鹿野上钩了。“……真的?”

“嗯。可以的话,去向他借吧?”

 

彼女は押し黙った。しかし初鹿野が即座に否定しないというのは承諾と同義だろう、と僕は思った。沈黙は彼女なりの精一杯の抵抗なのだ。「よし、任せてくれ。明日の晩までには用意する」

反応らしい反応は期待していなかったが、二つばかりの流れ星お見送った後、初鹿野はほとんど聞き取れないような小声でいった。

「……ありがとう」

「どういたしまして」僕は大袈裟に頭を下げた。「礼をいってもらえるとは思わなかった。今のは、帰ったら日記に書いておこう」

「そう」

初鹿野は不機嫌そうにそっぽを向いた。

她一言不发。然而我想,初鹿野没有当即否定的话,就和应允别无二致吧。保持沉默是她自有的、竭力抵抗的方式。

“好的,那就交给我了。在明晚前会准备好的。”

我并没有期待会有什么像样的反应。目送了大概两颗流星落下后,初鹿野用几乎听不清的微弱声音说:

“……谢谢。”

“不客气。”我夸张地低下头。“能听到道谢这点想都没想到。这个,回去以后要写到日记里。”

“噢。”

初鹿野看起来不怎么高兴地别过脸。

 

 

翌朝、僕は眠い目を擦りながら炎天下を歩いていき、檜原の家を訪れた。

店の軒下にいくつも並んだ植木鉢の花は、もれなく無惨に枯れていた。窓の面格子に巻きついた朝顔だけが、元気よく青や紫の花を咲かせていた。薄香色のモルタル壁はもう何年も塗り替えられていないらしく、ところどころ黒ずみひび割れている。入り口には「居酒屋」と書かれた提灯が垂れ下がり、表に出ている白い電飾看板には紺色の字で「しおさい」と店名が記されている。二階の出窓の下に取りつけられた室外機が、からからと異音を立てていた。

まだ十時前ということもあって、蝉の鳴き声は控えめだった。僕は軋む門扉を開けて住居側の玄関に回り、呼び鈴を鳴らした。三十秒数えてからもう一度呼び鈴を押したが、返事はなかった。

次日早晨,我揉着困倦的眼睛,走在炎炎烈日下,去拜访桧原家。

小店的屋檐下摆着的几盆花,无一不惨淡地干枯了。只有缠在窗栅上的牵牛欢快地绽着蓝色、紫色的花。浅驼色的水泥墙面似乎长年没再粉刷过,到处都有发黑开裂的痕迹。入口处低垂着写有“居酒屋”的灯笼,外面摆着的白色灯箱上,藏青色的字写着店名——“潮骚”。安在二楼飘窗下的空调外机发着“咔咔”的异响。

还没到十点,蝉鸣还算有所节制。我推开嘎吱作响的门,走到住宅那侧的门口,按响门铃。默数了三十秒后又按了一次,没有接通。

 

家の裏手から聞き慣れたエンジン音がした。様子を見にいくと、狭くごちゃごちゃとしたガレージの中で檜原がスクーターを弄っていた。オイル交換をするのだろう、スクータの脇にはオイルジョッキやボックスレンチ、カットしたペットボトルなどの道具が散らかっていた。

「手伝おうか?」と僕は声をかけた。

檜原は振り返り、僕の姿を見ると「おお、深町か」と目を丸くした。「お前が訪ねてくるなんて珍しいな。……ああ、もしかして、三日前の仕返しに来たのか?」

从房子背后传来熟悉的引擎声。我走过去想看看状况,发现桧原在乱糟糟的小车库摆弄着摩托车。车旁散乱地摆着油壶和工具箱,还有剪开的塑料瓶之类的东西,大概是在换机油吧。

“要帮忙吗?”我跟他搭话。

桧原转过头来,看到是我,瞪大了眼睛。“喔!是深町啊。”

“你会来这里真是难得啊。……啊,不会是来报三天前的仇吧?”

 

「それも悪くないな」僕は倉庫の隅に落ちていたモンキーレンチを拾い上げ、先端で手のひらを叩いた。「でも、今日は別の用があってきた。檜原、確かお前、天体望遠鏡を持ってたよな?」

「ああ、持ってる。それがどうかしたのか?」

「ちょっとの間、僕に貸してほしいんだ」

彼は腕で額の汗を拭った。

「藪から棒だな。なんだ、あれだけ俺の趣味を馬鹿にしてたくせに、今になって天体に興味が出てきたのか?」

「馬鹿にした覚えはないよ。それと、天体に興味があるのは僕じゃない。知人に、星を見るのが好きなやつがいるんだ」

檜原は口を半開きにして僕をじっくりと眺めた。

“那倒也不错啊。”我捡起落在仓库角落的万用扳手,用它的头部敲敲手掌。“但是今天是有别的事才来的。桧原,没记错的话,你有架天文望远镜的吧?”

“嗯,有的。望远镜怎么了?”

“我想借一下,就用一会儿。”

他用手腕擦了擦额头的汗。

“真是没头没脑的啊。怎么回事。明明一直那么瞧不起我的爱好,现在又对天文感兴趣了?”

“不记得有瞧不起过哦。再说,对天文感兴趣的也不是我,是有个熟人喜欢看星星。”

桧原半张着嘴盯着我。

 

「悪いが、貸す気はない。大事なものだからな、何も知らない素人には触らせたくないんだ」

そう言うと、檜原は作業に戻った。温まったエンジンを止めてビニール手袋を着け、ドレンボルトを外し、垂れてきたオイルをペットボトルで受ける。古いオイルを出し尽くすと再びボルトを締め、オイルフィラーキャップを外してジョッキから新しいオイルを注ぎ込む。キャップを閉めるとエンジンをかけ、またしばらく放置する。中学時代に何度も手伝いをしたせいで、僕もその作業工程をすっかり覚えてしまっていた。

“不好意思,但是不想出借。不想让什么都不懂的门外汉乱碰,因为它很重要。”

说完,桧原又继续做起他的工作。停下了温热起来了的引擎,戴上塑料手套,取下排油螺栓,用塑料瓶接住了滴下的油。把旧油排空,安上了螺栓,打开油箱盖,用油壶注满新油。盖上盖子,启动发动机,又要搁置一会儿。都是因为中学的时候已经帮了不知道多少次忙,这个流程我都能倒背如流了。

 

「どうしても必要なんだ。相応の礼はする。先日の件にも目をつむる。壊さないように細心の注意を払って取り扱う」

「使い方が分かるのか?」

「今から勉強する」

「勉強してからこい」

「急を要するんだ。頼む、真剣なお願いだ」

“不管怎样都需要借它。会给你相应的谢礼的,前几天的事情我也就当不记得。一定会小心注意地用,不把它弄坏。”

“知道怎么用吗?”

“现在开始学。”

“学完了再来。”

“真的有急用。拜托了,我是认真的。”

 

「お前がそんな風に人に頼みごとをするなんて、らしくないな」檜原は意外そうにいった。「もしかして、女絡みか?」

「見方によっては」と僕は答えを濁した。

「じゃあ、なおさら貸すわけにはいかないな。俺の大切な望遠鏡を、女の気を引くためなんかに使ってほしくない」

僕は小さく肩をすぼめた。「昔、世話になった女の子がひどく落ち込んでるんだ。普段はずっと部屋にこもってるんだけど、星を見るためだけに夜中外出する。星空を見上げている間だけは、安らかな気持ちになれるみたいなんだ。僕は彼女の手助けをしてやりたい」

“这副样子来拜托别人,不像你啊。”桧原惊讶地说。“难道,是为了哪个女的?”

“随你怎么想。”我含糊其辞地回答。

“那就更没有借你的理由了啊。我才不想让我宝贵的望远镜被用来勾搭女孩子。”

我微微地缩起了背。“是以前很照顾我的一个女孩,她现在很消沉。平时一直把自己闷在家里,只有半夜去看星星时才出门。好像只有仰望着星空的时候,心情才能安稳下来。我想帮她做点什么。”

 

檜原はスクーターのエンジンを止め、オイルフィラーキャップを外してウエスで拭き取り、再びそれを差し込んでオイルの残量を確かめた。十分な量が補充されたことを確認すると、彼はキャップをきつく締めてビニール手袋を外した。

スクーターをガレージの奥に寄せて停めた後、檜原は壁に立てかけられた折り畳み式のテーブルを持ってきて僕の前で組み立てた。傷だらけの木製のテーブルの前で膝をつくと、彼は袖をまくって肩を出した。

桧原关掉了摩托车的引擎,摘掉了油箱盖,用抹布擦了擦,又扣上了盖子检查了油量。确认已经加进了充分的汽油后,把盖子狠狠拧紧,摘掉了塑料手套。

把摩托车挪到车库深处后,桧原把靠墙放着的折叠桌拿到我面前搭好。在伤痕累累的木桌前跪坐下,他捋起袖子露出肩膀。

 

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Comments
已有 19 条评论 新浪微博
  1. GG

    超喜欢三秋缒,有台版出的三本都翻烂了

    2015年12月4日 00:08来自移动端 回复
  2. lu大要不邀请贴吧那位翻上卷的也来投稿?

    2015年12月3日 18:41来自移动端 回复
    • lu

      我问问吧=_=

      2015年12月3日 18:58 回复
      • 回复@看趣闻网:不窝只是表达一下喜欢而已( ´_ゝ`)以及那本应该是有台版的

        2015年12月3日 23:31来自新浪微博 回复
  3. 居然开始翻小说了,支持

    2015年12月3日 13:40 回复
  4. CyclizePei

    居然开始翻轻小说了。。。

    2015年12月3日 12:52来自移动端 回复
  5. lu大的后♂宫又增加了

    2015年12月3日 10:01来自新浪微博1 回复
  6. 777

    哦哦哦!终于有人翻译下卷了吗!超期待的

    2015年12月3日 09:41来自移动端1 回复
  7. rjcbsaj

    天哪小说Σ(゚д゚lll)(看了看手边至少5本没看完的坑
    话说其实挺推荐新海诚的小说的比剧场版故事性更完整,个人觉得只有看完小说才是真正的看完新海诚的每部作品

    2015年12月3日 09:02来自iPhone 回复
  8. 又一大坑?

    2015年12月3日 07:24来自iPad 回复
  9. 有时间再去看上卷也行的吧,

    2015年12月3日 01:06来自移动端 回复
  10. 沃特碧

    我的天啊超长篇已经不能满足你们了,开始翻轻小说了……

    2015年12月3日 00:50来自iPhone3 回复
  11. Sfa06305

    下怎看[t喷]

    2015年12月3日 00:39来自iPad 回复
  12. 非常喜欢三日間の幸せ,现在日版还堆在手边没事翻一翻

    2015年12月2日 23:42来自新浪微博 回复
  13. kk

    (◉ ` ◉)☆

    潜水(并没有)好久终有冒泡之日。
    第一次大庭广众之下翻东西。紧张MAX中(现在也在抖抖抖

    刚刚爬去看了书评。
    好像文风大体没什么变化但是某些地方跟前三作都不太一样。
    似乎结尾很有冲击力?
    似乎对可爱的女孩子们描写很细致…ヾ(*´∀`*)ノ

    个人来说从下卷看起没什么错乱的感觉,
    但似乎最好还是按上下卷顺序看(′︿‵。)

    按不出意外的龟速来,大概会有两个月长
    大家 请♂多♂指♂教。

    ps lu君苦瓜脸萌萌哒<(=~~▽~)彡_☆

    2015年12月2日 23:332 回复
    • lu

      颜文字用得好溜Σ(・∀・;) 

      2015年12月2日 23:461 回复
    • 很好看哦~加油!

      2015年12月3日 01:05来自移动端 回复
    • AkariAkari

      辛苦啦~~加油~

      2015年12月3日 01:11 回复
  14. 哈哈从下卷看也无所谓咯

    2015年12月2日 23:18来自新浪微博 回复
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